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環境に優しい指数?

本日の日経紙金融経済面には、JPX(日本取引所グループ)が日経平均株価を構成する企業の数や比率を調整して温暖化ガス排出量を日経平均の半分以下にするように設計した「日経平均気候変動1.5°C目標指数」をはじめとし、「S&P/JPX500 ESGスコア・ティルト指数」や「FTSE JPXネットゼロ・ジャパン500指数」など3本の先物を大阪取引所に上場すると発表した旨の記事があった。

この日経平均気候変動1.5°C目標指数だが日経平均と謳っているだけに当然225銘柄が対象となるワケだが、PAB(パリ協定連合ベンチマーク)のスクリーニングによりそのうち化石燃料関連の売り上げが一定水準を超える銘柄や、ESGの視点から武器やタバコの製造や社会規範に抵触するような銘柄は除外され残った204銘柄で構成されている。

とはいえこの指数、ほぼ日経平均と連動するのがミソで日経平均に連動するように日本株に投資をしつつエコ投資も出来るのがポイント。政策としても気候変動問題への対応が重要度を増すなかこれに背を向ける企業は生きづらくなる中で、投資家もまた企業の温暖化ガス排出量の抑制を促す投資行動が求められるようになってきているだけに使い勝手の良い指数となるかどうか期待したいところ。


一服の師走

さてもう師走入り。今年は値上げに明け暮れた一年であったが、今月の値上げは175品目と月別では今年最少となる見込みという。そんな中で今月は森永製菓が主力のゼリー飲料「inゼリー」10品を約14年半ぶりに値上げするほか、ネスレ日本もボトルタイプコーヒーの希望小売価格を13%引き上げ、外食もCoCo壱番屋や天丼てんやなどが今月値上げを実施する。

値上げも一服、一頃の急激な円安も今でこそ一服してはいるもののこれまでの円安や原材料価格の高騰を背景に年明け以降も価格上昇は続き、帝国データバンクでは4月までに冷凍食品や菓子など身近な品目含め4425品目が引き上げられる予定としており、円安ピークの反映もあって値上げペースや幅は今年を上回るとの指摘も出ている。

秋口に値上げを実施した主要品目のうちの約7割で販売数量が減少したというデータもあり、物価の上昇に賃上げが追い付かず根強い生活防衛意識が個人消費の足枷となっている様がうかがえる。今年の平均賃上げ率は2.07%、先に連合は2023年度春闘で5%程度の賃上げ要求を掲げると決めたが、物価上昇を考慮した実質賃金は9月まで6か月連続で前年を下回っており来年の春闘が天王山となるか。


ブラックフライデー2022

円安等による物価高が厳しさを増すなか、年末商戦のブラックフライデーが今年も先週からスタートした。米国発のこの商戦、いつの間にか彼方此方が参戦するようになって来たが、今年は一段と消費者の節約志向が高まるなか各社共に販促イベントによる消費喚起に力を入れる光景が見受けられる。

ECサイトや大手スーパー等は例年見慣れたものだが、大手百貨店も既に三越が2年前にオンラインで参戦し巣ごもりで家での贅沢な時間にスポットを当てて1000万超の屏風など店頭でも見られないような商品を精力的に取り上げていたのを思い出すが、今年は高島屋もオンラインで初参戦、こちらは約1500点が最大70%引きで購入出来たほか抽選販売で一戸建て住宅も販売した。

ところで本場の米年末商戦は例年感謝祭翌日のこのブラックフライデーから本格的に始まるが、全米小売業協会では今年の年末商戦の売り上げ高は1年前から6~8%上昇するものの、伸び率は昨年からは鈍化するとの見通しが示されていたが、初戦のブラックフライデー初日のネット通販は1年前からの伸び率1%という事前予測を上回る2.3%になった模様。

この辺は小売り各社が大幅な値引きを拡大した事などにより消費者の購買意欲が高まったとみられるが、同様の理由で翌週のサイバーマンデーのネット通販売り上げも過去最高を記録している。日本も物価高の波が家計に重くのしかかるなか、これまでの目玉商品であった高額家電などから生活必需品や日用品にフォーカスしこれらの充実を図るなど例年とは戦略が様変わりしたのが今年は印象的だ。


外国株選好

さて先の日曜日の日経紙一面では「老いる日本の株主」と題し、人口構成の割合の変化などを背景に株主も高齢化し、この30年で70代以上の保有額が全体の1割台から4割に高まっている旨が出ていた。気になるのはこの間に若・中年層が日本株に投資せずその投資先が上昇力の強い米国株など海外に向かっているという点か。

なるほど同頁には大手ネット系などで若・中年層ほどその投資マネーの向かう先は海外株に集中している実態が書かれていたが、この辺はNISAなど見てもその傾向が顕著に見て取れる。その背景には手軽にアクセス出来るようになった環境や啓蒙営業なども奏功しているのだろうが、相対的に本邦勢の株に対する見劣り感が否めないというのを肌で感じている部分もあろうか。

政府は資産所得倍増を打ち出し上記のNISA恒久化を進める旨を謳っているが、以前にも書いたように高寄与度の主力銘柄の最低単位に投資するのにNISAの年間投資上限額をはるかに超えてしまうケースが放置されているのが現状。上記の株主年齢のみならず企業の高齢化も謳われる昨今、このままでは低成長を嫌う個人マネー含め日本からのキャピタルフライトが加速しかねない懸念を今一度認識すべきだろうか。


逆行案

先週末に金融庁は上場企業が3ヵ月ごとに提出する「四半期決算短信」について将来的に提出を任意とする案を提出している。その代わりに「適宜開示」を充実させる旨を謳っているが、四半期報告書を廃止し決算短信に一本化する事を先に決めたこのタイミングでの将来的な見直し案には疑問符が付く向きも多いだろう。

斯様な「貯蓄から投資」への動きに逆行しかねない案が提出される背景には企業側の事務負担が重く、企業経営者や投資家が短期的な利益ばかりを追い求める原因になっているとの指摘があった事などがあるが、これらに明確な因果関係があるとも言えずこれによって長期的視点に繋がるという事でもないだろう。

この任意提出案に絡んでは先週の日経紙社説にも断固反対として、「~任意にすれば機関投資家からの求めがない大半の企業が四半期開示をやめてしまい~」との一文があったが、仮にそういったケースが出て来た場合ディスクロに消却的な向きは自ずと投資家から淘汰され二極化の進行も予測される。何れにせよつまらぬ事で東京市場の空洞化が進まぬよう政府も制度設計には工夫を持って臨んでもらいたいもの。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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