池坊展2023

昨日は豊臣秀吉が戦国時代の武将、藤堂高虎に授けた褒美との伝承が残る「黄金の茶道具」一式のオークションを取り上げたが、豊臣秀吉といえば池坊専好が前田利家邸で秀吉に披露したといわれる「大砂物」から生まれた伝説に着想を得て作り上げた今から6年ほど前に公開された映画「花戦さ」が思い出される。

この年の「池坊展」は本当に圧巻で、この映画の公開記念という事で映画の中で描かれた様々な生け花のシーンなど実際に撮影で使われたものが展示されており特に昇竜松を主体にした大砂物の迫力は今でも鮮明に残っている。そんな池坊展だが、今週月曜日まで「とらわれのない美」をテーマに開催されていた池坊東京花展に行ってきた。

池坊展は19年の東京都美術館での花展以来で今回は初夏の花材を用いた延べ約440作が展示されていたが、毎度の事ながら器もひな壇のようなものからコルク栓を敷き詰めたものなど斬新で難しい和と洋の花の組み合わせと併せ縦横無尽であったが、次期家元の専好氏のスプリングを多用した作品もまたユニークなものであった。

そしてやはり圧巻は家元の専永氏の作品か。「隠れているもの秘されているもの、それらは無ではない。有を支える根源なのである。」と解説があったが、大きな竹筒下部から伸びる力強い根に「生の力」を改めて感じさせられた。コロナ禍で不安が世界を包み日々の生活や価値観も大きく揺らぐ時代の変化のなか、常に時代を感じて今をいける池坊に改めて力をもらった今回の展であった。


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