依存脱却へ一歩

一昨日の日経紙朝刊には双日が来年半ばにもオーストラリア産の希少性の高いレアアースの輸入を現状の2品目から最大6品目に増やす旨の記事が一面を飾っていたが、このレアアースといえば先週はCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)グループがレアアースの先物取引を検討している旨をロイター通信が報じている。現在は現物取引のみだが、これが導入されれば世界初のこととなる。

関連企業などこれが開始されれば事業計画など練り易くなるというものだが、マーケットでは地政学リスクの高まりも背景に資源の獲得競争激化で米の主力レアアース関連株組み入れのETFの一つは昨年末からの上昇率が7割を超えた。関連株といえば上記の双日株も昨日は日経平均が4日続落となるなか冒頭の報道を好感して急伸、大台の7000円を突破し上場来高値を更新してきている。

昨年から「台湾有事」を巡る日中対立で中国はレアアースの一部輸出規制をちらつかせるなど絶賛嫌がらせ中だが、中国からの依存脱却に向けて国産レアアース開発の為に南鳥島に出向した探査船は今月に入って最初の泥の引き揚げに成功するという吉報が入っている。民間企業も上記双日以外では大手自動車各社なども回収技術の確率を急いでおり、官民挙げて脱中国依存の動きが加速しつつある。

直近では対米投資計画の第一弾案件で人工ダイヤモンド製造も候補に挙がっているが、これも中国が圧倒的シェアを誇っている事で第二のレアアースとなる可能性も警戒されている。この報で関連株の旭ダイヤモンド工業も昨日は冒頭の双日と共に年初来高値を更新してきているが、経済安全保障の観点からもこれら供給源の多様化が非常に重要となってくる事で今後もその進捗動向を関連株と共に注目しておきたい。


今や昔の物価優等生

農水省の食品価格動向調査では先週アタマの卵1パックの平均価格は前月比で2円高の308円となり、平年より26%高く昨年12月に記録した過去最高値に並んでいる。一昨年の大規模な鳥インフルエンザの影響から回復しきらないままに、昨年からから今年にかけても鳥インフルエンザの感染が相次いでいる現状からマーケットへの流通量が減少しているのに加え生産コストも上昇しているのが背景。

昨年末もそうだったがここ数年のクリスマスシーズンにはタマゴ需要が高まり価格押し上げの要因にもなると喧伝され、クリスマスが終れば今度はおせち需要から価格の押し上げ要因にもなるとされこれらが過ぎた年明け以降は一服するというのがコンセンサスでもあったが、新米が出回れば落ち着くとされたコメが一向に値下がりしなかったのと同様にこちらも高止まりが続いている。

この辺の背景には長引く円安による飼料価格等の生産コストの高騰もあるだろうが、かつて「物価の優等生」と謳われた時代もあったがすっかり今や昔の話だ。今年の鳥インフルエンザの状況次第で供給回復が覚束なければ価格高止まりが続く可能性もあるが、イースターシーズンの頃にはこの主役の値段に落ち着きの兆しが見えてくるのか否かこの辺にも注視しておこう。


問われるガバナンス

昨日の日経紙夕刊にはAIを活用した法務業務の効率化を手掛けるリーガルオンテクノロジーズが、大和アセットマネジメントと共同でAIを活用してインサイダー情報を検知するシステムの開発を始めた旨の記事があったが、そういえば本日は証券取引等監視委員会がみずほ証券社員らの関係先をインサイダー取引容疑で強制調査した旨の記事が日経朝刊の一面を飾っていた。

インサイダー取引といえば忘れた頃にポツンポツンと挙げられるイメージだったが、今年はつい先月も三田証券の元幹部がインサイダー取引容疑で逮捕された事件があったばかり。三田の件は投資銀行本部長職時代にニデックによる牧野フライス製作所に対するTOB情報を元に公表前の株式を買い付けたものだったが、上記のみずほ証券社員も同じく投資銀行部門に所属していたという。

上記2件に限らずここ数年はその辺の一般人が運悪く見つかってしまう“川下”のケースよりも“川上”の金融業界の摘発が多く、さらに遡れば三井住友銀行の証券代行部門から胴元?の東京証券取引所に更にその市場を監督する金融庁からもTOB情報を利用したインサイダー取引で有罪判決が出るなど異例ともいえる事件が近年では起きている。

TOB案件では上場企業が破綻して株価が下がるのと同じくらいの確率でその株価は上昇するのでこの誘惑に負ける輩が出てくるわけだが、昨年も書いたように一昔前のインサイダー取引では企業破綻や苦し紛れの巨額増資に絡む“売りインサイダー”が主流だったが、今は資本効率に絡むM&AのTOBでの“買いインサイダー”が目立つ。そう考えると犯罪からも近年の市場改革の進展が垣間見えるというまこと皮肉な事例ともいえるか。


ティッカーシンボル「PAYP」

先週末にソフトバンクG傘下のスマホ決済大手のPeyPeyが来月にも米ナスダック市場に上場する旨が各所で報じられている。ソフトバンクG側の売り出し保有株式は10%程度を予定している模様だが、想定される時価総額は3兆円を超える見通しという。PeyPeyはこれに先駆けて米クレジットカード大手のビザとの提携を発表しているが、日本で成功したモデルが輸出?される格好に。

このPeyPey、日本国内のスマホ決済のシェアでは約7割を誇っているが、この手の決済市場でペイパルなどの大手が君臨する米市場へ上場を目指すことでデジタルインフラへの脱皮を狙う。しかしコロナ禍の頃から機関投資家が評価し易い環境が整備されている米市場に上場する日本企業が相次いでいるが、このPeyPeyのような成長性の高い有力企業が東証を素通りして米市場へ直接上場する様を見るになかなか複雑な思いも出てくるものだ。

PeyPeyユーザーが海外渡航先でもこの対応店舗で決済できるよう支払方法の拡充など為されれば一層利便性が高まるというものだが、ソフトバンクGといえば過日は多額の出資をしている米オープンAIも今年はIPOを計画しているという報道もあった。上場がかなえば抱える“金の卵”の価値がどのくらいなのか定量的に把握出来るようになることで株価含め同社を取り巻くまた違った景色が見えてくるようになるか。


Valentin’s2026

さて明後日に迫っているバレンタインデー、一昨年の当欄では「原材料高騰でバレンタインチョコが一昨年比較で平均4.5%の値上げとなった」と書いていたが、以降価格高騰が落ち着く気配も無い。カカオ豆急騰によって総務省では東京都区部チョコレート100gの平均価格が2025年12月で404円とここ3年間で約2倍の水準と発表されており、帝国データバンク調査では今年のバレンタインチョコの1粒価格が2年連続で過去最高値を更新している。

このバレンタインに先駆け毎年恒例のイベントとしては三越伊勢丹系の「サロン・デュ・ショコラ」に高島屋の「アムール・デュ・ショコラ」が挙げられる。今年は毎年書いている個人的に刺さった商品の詳細は割愛するが、今年も過去最多招聘の世界のトップパティシエによる独創的な商品はもとより、今や“推し活”の対象にまでなった日本人シェフの台頭も奏功し“義理チョコ文化”が消えゆくなかこれらイベントの市場規模は拡大の一途をたどっている。

肝心のカカオ豆相場は先物がピークからはかなり下落してきているものの、物流・人件費から包装資材まで諸々なコスト増からこちらに出店している著名パティシエのそれは冒頭の1粒平均価格どころかこれの軽く数倍となっており、いま最も強気に価格転嫁が通る食品なのは間違いないところだろう。とはいえここまで原材料費が高騰したことで百貨店商戦では代替カカオともいえる商品も各所で登場してきている。

そごう西武ではカカオ豆の代わりにコーヒー豆を原材料とした商品をラインナップし、高島屋もエンドウ豆などを原料とする代替チョコが初登場、他にもひまわりの種を原材料としたモノまで登場しているが、環境意識の高まるなか代替食品の抵抗感をどこまで払拭出来るかが焦点か。いずれにせよコスト高由来のチョコレート価格の上昇トレンドはこの先もしばらく続きそうで、今後は割安へ靡くか本物追及かの二極化がますます顕著になって来ようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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