ナフサが株価も直撃

昨日の株式市場では後場からTOTO株が後場に入ってから急落を演じた。これは中東情勢緊迫化でナフサ等の供給が滞る中、商品に使われる原材料の一部が不足している事から昨日付けで同社が取引先にユニットバスとシステムバスの新規受注を停止したことによるもの。ナフサに絡んでは一昨日の日経紙でも住宅価格や建材メーカーの在庫に影響が出る可能性を報じている。

建材メーカーではタカラスタンダードも同日に原材料の調達が不安定な状況で、こうした事態が長期化した場合はあらゆる方面に影響が出るとしており同社株も本日は大幅続落して年初来安値を更新していた。また住宅設備大手のリクシルも生産コストなどが上昇し自社努力の範囲を超える状況となっていることで出荷制限や価格改定の可能性に言及、こちらの株価も週明けは急反落し年初来安値を更新している。

また旭化成もサランラップの値上げは避けられないとの認識を示しており、ガソリンやら軽油やらといった原油価格が直撃するモノから化学素材を通じて実体経済に波及してきた感じだ。政府側は少なくとも国内需要4か月分を確保など時間軸で報じているが実際の在庫は如何ほどなのいか?諸外国では既に消費抑制の動きが活発化しているが、関連各社の動向と併せて身構える動きが続きそうだ。


インサイダー天国?

先週末の日経紙オピニオンでは「軍事を賭ける市場の危うさ」と題し、イスラエル当局が昨年のイラン攻撃を巡り米予測市場のポリマーケットでインサイダー取引をしていた2人を起訴した旨の記事があった。ポリマーケットについては当欄でも昨年末から取り上げているが、上記のイスラエルの件の後も今年に入ってからはベネズエラ攻撃を巡っても不自然な取引が報じられていた経緯がある。

直近ではパキスタンが仲介した米とイランの停戦協議も合意に至らず物別れに終わりまた事態は混沌としてきたが、既に先月には原油の先物取引においてトランプ米大統領がSNSにイランと生産的な対話を行ったと投稿し価格が急落した際に、この投稿の15分前に取引が急増した旨も報じられている。FTではWTIと北海ブレントの先物で計6200件、約920億円相当の取引が行われた他、天然ガスや米主要株価指数先物取引でも同じタイミングで取引急増した旨を報じている。

斯様な不自然な取引が相次いで報告されていることを受けて米政府は職員に対し予測市場や先物市場などでインサイダー取引をしないように警告した旨も報じられているが、先月末には超党派の上院議員たちが連邦政府職員や議員らが公務で得た非公開情報を使って予測市場で利益を得ることを禁じる法案が提出されている。

しかしこの予測市場、二者択一に賭けるシンプルさやその対象となる予測の多彩さを見るに市場の急成長も頷けるところだ。しかしこれもスポーツ賭博の“八百長”の如く結果を左右出来るようなある程度巨大な“闇の力”を持つ向きが挙って参加してくるとなるとなんとも恐い。定量的なデータに一役買い大手取引所も予測市場に出資するまでになった一方、上記のような部分の警鐘も自ずと出てこようか。


伸びるリユース市場と業態転換

先週末の日経夕刊マーケット・投資面では日経ヴェリタスから「リユース市場、物価高で追い風」と題し、物価高で家計の負担が強まる中、お金を節約しようと衣服や家電などのリユース日の需要が増えている旨の記事が載っていた。ここではリユース業界首位の「ゲオHD」が取り上げられていたが、ここもかつてのレンタルビデオ事業から今やすっかりリユース事業が主軸に変貌している。

またリユース品の真贋判定にAIを活用しているとして「コメ兵HD」も取り上げられていたが、同社といえばJフロントリテイリングと合弁で中古ブランド買い取り専門店の「MEGRUS」を旗艦店の大丸東京店内に開設しており、またブックオフGHDも業態転換組だが、同社もまた高島屋S.C.内に買い取り専門店の「hugall」を展開している。この辺は共に百貨店の持つ富裕層顧客基盤も狙いのうちか。

しかしリユース市場が年々拡大してきたのは上記のヴェリタス記事のように物価高で家計負担が強まりそのためにお金を節約しようという動きもあるが、加えて中古となった製品にも第2のステージを与えてそのライフサイクルを伸ばし更によりサステナブルな消費の在り方を促進するという社会価値の創造機運という部分もまた背景にあるだろうか。

いずれにせよ斯様なことでリユースの市場規模は近年右肩上がりで、ちょうど1兆円を超えたあたりの2009年から2017年にはこれが2兆円の大台に乗り、更に2023年には3兆円の大台をも超えてこの先も拡大基調が続き2030年には約4兆円にもなると試算されている。市場環境や消費者ニーズも変化するなか、上記のように企業も先見性と柔軟性で進化する向きが今後も増えそうだ。


トレンドを超えるか

本日の日経紙の国際・アジアBiz面では「米食品で健康シフト進む」と題し、近年流行りの糖尿病・肥満症治療薬の「GLP-1薬」利用者増を背景として炭水化物や脂質の多い所謂ジャンクフード市場が先細りになってきたことで、食品各社は健康維持に重要なタンパク質や食物繊維の多い新商品を開発し増産に力を入れ始めるなど商品戦略の変更を迫られている旨の記事があった。

当欄ではGLP-1受容体作動薬については一昨年のちょうど今頃に取り上げた経緯があるが、当時主流だったウゴービやオゼンピックを製造する製薬大手ノボノルディスクファーマは、時価総額がラグジュアリーブランドのLVMHやM7の一角でもある米テスラを抜いたりしたものだったのを思い出す。あれから2年、今や米国成人の8人に1人が何らかのGLP-1薬を使用しているという。

その辺は兎も角も、もともとコロナ禍で在宅時間が増えた事による体重増加などで健康に対する意識が大きく変わったことによる食市場の変化はあったが、この手の受容体作動薬の普及でより一層変貌している感がある。これらに合致する日本食への注目度もかつてないほど高まっているようだが、健康の捉え方は世代間で変わるもののこの傾向が一時的なトレンドを超えて一つの潮流となってくるかどうか今後の動向も注視しておきたい。


崩れるか現預金の山

先週末の日経紙総合面には「現預金ため込み是正促す」と題し、金融庁と東京証券取引所が取りまとめた上場企業に向けたコーポレートガバナンス・コードの改定案において、企業が抱える現預金を有効活用できているか取締役会に検証を求める項目を織り込んでいる旨の記事があった。こうした背景には企業がお金を抱え込み過ぎているという政府の問題意識がある。

昨年3月末の現預金合計は115兆円とこの10年で約4割増えている模様だが、高市総理はかつて企業の現預金に課税する案を謳ったこともあり企業の中でも近年では中期経営計画においてキャピタルアロケーションの方針を開示する向きも増えてきている。今回の件含めそういった機運の高まりで、新たな中期経営計画の発表に合わせ現預金雄活用方法を打ち出す向きがどの程度出てくるかも注目される。

この改定案はパブリックコメントを経て夏までに正式決定される見通しというが、インフレ下で現預金価値が目減りするのはなにも個人に限ったことではないだけにこうした企業の眠る現預金には投資家からの厳しい視線が向けられるのは想像に難くはなく、企業が従前の短期的視点の株主還元以外の成長投資を考えるよい機会になることに期待したいところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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