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手が届くエンゲージメントファンド

本日の日経紙マーケット面には「投信、PBR改革の援軍に」と題し、当欄でも今週はじめに取り上げたアクティブETFの中から「PBR1倍割れ解消推進ETF」が取り上げられていた。同ETFは本日も商いを急増させ上場後の新高値を付けてきていたが、他のアクティブETFも政策保有解消推進や高配当日本株など上場後の新高値を付けてきている。

このPBR1倍割れ解消推進ETFはエンゲージメント活動によってPBR1倍割れ解消を加速、日本の上場企業の大多数がPBR1倍超えとなることを目指すという壮大な目標を掲げているだけに期待が商いに表れ始めたというところなのか日経紙の取り上げもあってかその出来高は昨日の実に3倍にも急増している。

それ以上にこのアクティブETF上場と前後して目立っているのがこれらへの組み入れ銘柄群の上昇の加速か。特に三菱UFJはじめとしたメガバンクなどは万年PBR1倍割れ、そして政策保有株もトップクラスで更には高配当と新規上場したアクティブETF殆どのテーマに被っており、他にもトヨタ自動車やJTなども然りで組み入れに乗って何回転も効く新規商品創設期の旨味をそれぞれが擁している。

しかしこれらのユニークなネーミングを見ているとそのうち分割促進ETFやらTOBターゲットETFなどまで出て来そうだが、冗談はさておき長期でこれらETFを抱くもよし、上記のようにマル信で序盤の美味しいところだけも抜くもよしと投資スタイルは人ぞれぞれだろうが、アクティビストが狙う獲物も幅広く共有される時代になって来た。


アクティブ型第1弾

先週末の日経紙マネーのまなびにはETFにもアクティブ型と題し、東京証券取引所にアクティブ型として先週に初めて上場した計6本のETF(上場投資信託)が取り上げられていた。海外では既にアクティブ型のETFが広がっているが、これまでの国内モノといえば日経平均などの指数に連動するようなパッシブ型のみのラインナップであった。

うち野村アセットの高配当などはこれまでも国内外のモノが幾つも上場しているが、シンプレクス等は「投資家経営者一心同体ETF」など個性的なネーミングを出してきており、他「PBR1倍割れ解消推進ETF」や高いROEを期待出来る「日本成長株アクティブ」などはまさに東証が現在各企業に改善要請している旬なテーマを持ってきている。

7月にJPXプライム150指数の算出が開始された際に、当欄では「~個人的にはPBRが0.6倍台から様々な株主還元を打ち出しPBR1倍に向かう過程で大化けした大日本印刷のような銘柄に大いなる魅力を感じたものだったが~」と書いた事があったが、特に上記の「PBR1倍割れ解消推進ETF」などはまさにこの辺にフォーカスを当てたものだろうか。

また依然として簿価ベースでは30兆円の政策保有株があるといわれているが、政策保有株をバランスシート上に多く保有する企業はPBRやROEが低い傾向にあるだけに「政策保有株推進ETF」などもこの辺を突いたものか。これら新NISAに間に合わせるタイミングでアクティブ解禁の運びとなったが今後も商品性の広がりを見せてゆくかどうか注目される。


主要4指数8日続伸

前日に節目となる33,000円の大台を回復した日経平均だが、本日もその勢いをかって続伸となった。8日に9月限のメジャーSQを控え、コールのショートカバーよりリクイディティーの高い先物へのロングの選択によって指数が押し上げられている面もあるが、なんだかんだこれで5月11日~22日以来の8日続伸となった。

時価総額トップのトヨタ自動車に日立製作所などのゼロイチ銘柄、三菱東京UFJ、三井住友FG、みずほFGなどメガバンク勢も揃って年初来高値更新した他、三井不動産や三菱地所など不動産大手も揃って年初来高値を更新していたが、そんなワケでTOPIXも日経平均同様に8日続伸となりこれでバブル崩壊後の高値を4営業日連続で更新することとなった。

他にJPXインデックス400も8日続伸となり算出開始以来の最高値を連日で更新、算出公表から日の浅いJPXプライム150指数も揃って8日続伸となった。この指数、グロースの色が濃いものの、長期でTOPIXをアウトパフォームしてくる試算も検証もされているだけに来年の新NISAの拡充に向けて誘い水の効果は高いか。


上場74年に幕か

投資ファンドの日本産業パートナーズらによる東芝への8日からのTOBを控え、本日の日経紙には「株式会社東芝の株主の皆さまへ 公開買い付けへの応募はお済みでしょうか?」との全面広告が出ていた。ちなみに公開買い付け代理人は週内にも2500億円の資本増強に踏み切ると報じられているSMBC日興証券である。

不正会計や原子力事業の失敗で経営危機に陥り2017年に実施した約6000億円の苦し紛れの第三者割当増資が悪夢?の始まりだったが、以降これに応じた魑魅魍魎の株主の顔色を窺いながら一般株主や従業員など他のステークホルダーは蚊帳の外に置かれたまま近年はアクティビストらの突き上げによる臨時株主総会が頻繁に開催される迷走だけが目立っていた感がある。

そんな東芝も今回のTOBで所謂物言う株主からの呪縛から解かれるということになろうが、彼らとて応募で一定の利は確保するとはいえその価格に納得している筈も無くこれまで費やした時間とその労力に見合ったイグジットではないだろう。この幕引きで彼らの次のターゲットにも関心が向かうが、いずれにせよこのTOB成立が叶えば74年間の上場の歴史に幕を閉じることになる事でなんとも複雑な思いだ。


ジャクソンホール会議閉幕

注目のジャクソンホール会議が先週末に閉幕したが、FRB議長は経済情勢次第で追加利上げをする可能性に言及したことで米債券市場では2年債の利回りの上昇が目立つ展開で日米の2年金利差は約5ヵ月ぶり水準まで拡大、これを受けて週明けの為替市場も円安ドル高が進行することとなった。

斯様に日米の金融政策の方向性の違いから日米金利差の拡大を材料にして円売りが続く可能性があり、投機的な円安になって来た場合の現実的な対応は円買い介入か金融政策の変更というところだろうが、一部外資系銀行では仮に日銀が更なる修正に動いた場合の円高インパクトは春先に予測したものより変動幅は小さくなるだろうとの試算だ。

一方で株式の方はタカ派寄りな内容だったとはいえ終点の見える打ち止め期待も交錯し米市場は上昇で反応、週明けの日経平均もこれを受け先週末から往って来い近い急反発を演じることとなったが、いずれにせよ次の焦点は来月のFOMCで来年末の政策金利などその経済見通しには要注目としたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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