政策の限界

先週末の国内債券市場では長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇し、一時0.505%と日銀が現在の金融政策で上限としている0.5%を上回った。前回この上限を超えた先月22日以来のことで次期総裁候補が所信聴取で発言してから初めての事である。海外金利の上昇圧力が波及したほか、総務省発表の東京都区部の2月消費者物価指数の総合指数が市場予想を上回った事などが背景。

斯様に依然として物価上昇を抑制するために日銀が緩和修正に踏み切るとの思惑が根強く金利上昇の圧力は衰えないが、残存8~9年の利回りが指標の10年債利回りを上回るという歪みが続く市場では今の経済実態に照らすと長期金利上限は1%くらいが適切ではないかとの試算もあり0.5%では低すぎるという思惑先行から更なる歪みが生じてしまっている構図。

斯様な歪みから国債を基準に金利が決まる社債市場などいろいろなところに悪影響が及んでおり、新総裁が先ず着手するのは変動幅拡大含めたYCCの改革ではとの思惑が喧しいが、国債を買い占めたり共担オペにより本来は市場が決めるべき金利を人為的な需給調整で封じ込めている不自然な政策自体がもう限界にきておりその大義が失われてきているのは間違いのないところだろう。


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