281ページ目   雑記

吸い上げ副作用

週明けの日経平均は、欧米金利の上昇など海外不安が後退し投資家心理が改善したことで大幅続伸となった。とはいえ前場84.20円高のうちKDDIや値嵩のファーストリテイリング2銘柄で値上がり寄与は30.54円、一方の値下がり寄与もファナック1銘柄で27.09円となるなど依然としてこうした高寄与度銘柄の影響が強い。

ところでこの高寄与度銘柄のファナックだが、近年変動率の上昇がよく言われるようになってきた。これが顕著になってきたのは日銀が異次元緩和を導入した時期にほぼリンクしており、背景には日銀によるETF買いで株式が吸い上げられ結果リクディティー低下の弊害がいわれている。

実際この手の株にしては日中の板がスカスカになっている事も珍しく無くなってきたが、これに限らずMSCI絡みで買いあさったモノも数年前とは比べ物にならないくらい板が大きく乖離してしまったのも多くなっている。見た目には吸い上げた物の保有者はETF運用会社とはいえ、実質は日銀であり既に大量保有報告レベルに達している。

この辺は当欄でも昨年10月に、公的機関が大株主に登場するケースでは日本版スチュワードシップコードに絡んで矛盾する部分も出てくると書いた事があった。倫理的な部分以外でもこんなリクイディティー低下を逆利用し鞘を抜こうとする輩が増えてくれば更に一般への弊害も出てきそうな気がするが、この辺は実際の弊害が広がって来るまで議論は強まってこないか。


外食業界模様

さて、一昨日は日本マクドナルドが調達先工場による消費期限切れ肉使用や、商品への異物混入で大きく傷ついた信頼の回復を図るべく、母親がメニューの安全性について議論し店舗や加工工場などを確認する「ママズ・プロジェクト」なるものを開始すると発表している。

同社といえば度々当欄でも取り上げてきたが、株式市場では先週に同社の時価総額が「すかいらーく」に抜かれた事が話題になっていた。これはすかいらーくがMBOによって上場を廃止する以前の2006年9月以来、約8年8ヶ月ぶりの事だという。もともとこのMBOは業績低迷に因るものであったが、再上場後は主力のガスト好調から快進撃が続いている。

まさに今の外食業界の明暗図が如実に表れた現象ともいえるが、本日の日経MJもフロント特集が「常連2割の乱」と題して牛丼値上げに踏み切った各社の裏で客離れが顕著になっている旨が載っており、外食業界におけるマーケティングの巧拙が今後明確化してくるだろうか。


ポスト初

祭日明けの日経平均は連休控えのなか、米景気の先行き不安や欧州株安を嫌気し前場は急反落となっていたが、後場は加えて日銀金融政策決定会合結果も現状維持となった事から更に一段安で500円を超える下げとなった。こんな時は万遍なく売りが広がるが、中でも比例配分のストップ安で目を引いたのは京王ズであった。

これは周知の通り一昨日に東京証券取引所が5月29日付けで上場廃止にすると発表した事に因るものだが、とうとう特設注意銘柄指定から初の上場廃止が出る事になった。当初内部管理体制等の点で長期にわたって著しい不備が認められた為の同ポスト入りだったが、直近でも元代表への不正な資金流出が発覚し執行猶予もこれ以上はというところだったか。

現在の特設注意銘柄には今月中旬に「上場ゴール終焉?」の題で先に挙げたマザーズのエナリス、また新興市場だけでなく東証一部からはあのリソー教育も入っているが、誰が見ても債務超過等で決定的パンクというより未だ生きている状態での上場廃止はほんとうに匙加減という印象は未だある。

かつて内部管理体制に問題ありとしてあのオリンパスもこの特設注意市場に入れられていたが廃止措置は免れ今や優良株、また日興コーディアルGも免れたが同じ犯歴?のライブドアは有無を言わさずの上場廃止であった。上記の京王ズは上場以来まともな決算が無かったとの噂だったが、確かに昨今のIPOゴールとされる現象を見るにこうした懸念は消えず、セカンダリー以前の精査徹底は投資家保護の観点から今後の課題ともいえる。


読めぬ予測

さて過日久し振りに大手スーパーに足を運ぶ機会があったのだが、食品の試食コーナーの並びにまた別な列が出来ていて、それは直近で販売休止を打ち出したサントリー製品の試飲コーナーであり、傍から手を伸ばし箱買いする向きが何人も居たのがけっこう印象的だった。

いわずもがなその飲料は今話題になっているサントリーの「南アルプスの天然水&ヨーグリーナ」だったのだが、しかしサントリーといえば先に鳴り物入りで炭酸飲料の「レモンジーナ」を発売するもわずか2日足らずで販売休止にしてしまった経緯があり立て続けの事態となる。

斯様にこんな事の連続から所謂「あおり商法」や「品薄商法」疑惑まで出る始末だったが、同様にこの手ではハーゲンダッツが和風アイス2種類を発売するも2日後に販売休止を発表した経緯があり、同じアイスものでは更にその前の赤城乳業の「ガリガリ君コーポタージュ」も発売3日後に販売休止が発表された経緯がある。

一様に需要予測が甘かったとの謝罪発表が為されているが、昨今ではネットでの情報も拡散氾濫がますます顕著になってきているだけにこれまでの経験則が通用しない部分もあり、その分需要予測自体が困難になってきているのかもしれない。メーカー、小売店共に要らぬ勘繰りも降りかかりやれやれだがマーケティングの奏功も悲哀交々である。


再編思惑

本日の日経平均は2000年4月14日以来、実に15年ぶりに大引での20,000大台乗せとなった。相場を此処まで牽引した原動力になっていたのはコア系のTOPIXが堅調持続したところが大きいが、その中心となっていたのが銀行セクターだろうか。

この中でメガバンクはいわずもがなだが地銀株も突飛高したりジワジワと年初来高値更新したりというものも少なくない。この地銀、メガバンク勢はそれぞれ親密な地銀株を保有しているがその地銀は地銀でまた持ち合いの商習慣?から今なお相互に株式を保有しているのが現状でこれまで経営統合の発表が出る度に思惑で株価上昇していたものも多い。

今月初めに当欄で書いたように、今年6月からの企業統治指針を睨んでこれらもまた持ち合い理由の説明義務が生じてくる事から当然この解消促進思惑と絡めて再編思惑も常についてまわる。こんな事から次の突飛高を睨んで水面下で玉を手当てする動きも一部見られ、またスマートベータなどの組み入れも需給に大きな変化をもたす事で今後もまだまだ宝探しが続きそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

12

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31