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トコロ相場

昨日の日経紙夕刊社会面には高級果物である北海道夕張メロンの初競りの様子が載っていた。札幌市中央卸売市場での最高値は、2個50万円であった昨年とは桁違いで同150万円にて落札された模様。

さてこの手としては既に店頭に並んで久しい宮崎県名産の「太陽のタマゴ」もまた高級果物の類だが、先月行われたこの初競りは宮崎中央卸売市場では2個入り1ケースが20万円で競り落とされるなど相変わらずの高値で取引が始まったものの、大阪ではこれが5万円、そして東京に至っては十分の一の2万円であった。

なんとも極端なトコロ相場であるが、こういったフルーツとか海産物は時折相場のダイナミックさを見せてくれる。そういえば一寸前まで蟹などと共に雲丹の案内があったが、時化の影響で加工量が少なかった後の正常化で大量出荷があり需給バランスの崩れから僅か数週で相場が半値八掛け以下にまで落ちた時もあった。

トコロ相場といえば、昔は株式相場や商品相場もトコロ相場を利用して仕手戦めいた事例などあったが、今や一般が投資する金融界はそういった面での整備が進み、上記のような業者のマーケットでこれらを見るに止まっているあたり少し昔が懐かしく思える今日此の頃である。


デザイン考察

さて、本日の日経紙社説には「今の日本企業は手元の才を十分に生かしているだろうか」という提言?で産業等におけるデザインの重要性にも一部触れていたのを目にした。

この社説の中では独創性を生かした成功例として、日産自動車の「キューブ」や資生堂の「マジョリカマジョルカ」なども挙げていたが、少し前でもデザインの美しさに惹かれその煩い音にさえ目を瞑って「ダイソン」の掃除機などに手を出してしまった向きも多いはず。しかしそのヒットの継続性からもっとも分かり易い事例としてはやはり米アップル社の製品であろうか。

90年代後半に出した「iMac」のヒットで一時は経営危機説も出ていた同社の復活劇は有名な話だが、その後も2000年に入ってからの「iPod」、また一昨年の「iPhone」、そして周知の通りで今年に入ってからの「iPad」と立て続けにその機能性とデザインを武器に市場の話題をさらう快挙を成し遂げている。

スマートフォンの類に限らず今は製造技術の普及化などもあって、複数の会社から似たようなものがどんどん出せるようになったが、そうなると市場原理として競争要因にはコストくらいしかなくなり自ずと価格が崩れてくるのが一般的といわれる。そこで差別化としてはやはりデザインがキーとなってくるが、上記の米アップルなどはトップ陣から深くデザインに関りその他タクティクスも他とは一線を画している感がある。今一度同紙文中にあったデザイン部門を縮小している日本の大手企業など、この辺に再考の余地ありと思うが。


連休分散化の功罪

さて、過ぎてみればあっという間に終ってしまうゴールデンウィークであるが、今年は5連休が入る日並びのよさから各地、各国への人出も一段と多かった模様である。

ところでこのGW、周知の通り先に政府からは需要の平準化を通じ混雑緩和などから観光など産業生産向上を狙う意味で、日本を5つのブロックに分け春秋・週末を絡めてこの集中している休みを順番に連休にする案を示し、早ければ来年か再来年にもスタートさせる旨が出されている。

なるほどこれであれば観光産業などにとっては生産性向上や雇用安定化、また旅行コストの低減など其れなりに効果がありそうだが、こと業界の事を考えると取引所などどうだろう?まさか東西で順番に休みというワケにはいかないだろうし、これに則する証券会社や取引員なども推して知るべし。これに限らず他企業でもかえってGWを奪われてしまう事例も続出するかと。

そんなワケでどうだろう、この手は欧州一部では既に施行されているがもともとゆったりとバカンスを満喫する文化を持たない?日本で上手くいくだろうか。それに名前だけ残し休日にならなくなる祝日というのもシックリこないし、まだまだスンナリ事が運ぶとは考え辛いような気もする。


異常気象と商機

本日は天気もよく非常に暖かい一日であったが、思えば今月の所謂「三寒四温」はとにかく極端であったなと。宮崎では4月の観測史上1位タイの低い気温を記録したかと思えば、関東地方でも都心では41年ぶりの積雪となり、桜に雪景色というなんとも風流?な光景が見られた。

そういえば馴染みのクリーニング店へ行っても今年は冬物の持ち込みが極端に減少し保管依頼も今のところ昨年の半分以下との話しであったが、先週末の日経夕刊でも一面はこれらの影響による野菜高騰が載っていた。他にも相場モノではこの時期灯油のスポット相場も4月に入ってからガソリンとほぼ同鞘に並ぶ場面が出現するなどの異常事態も見られた。

昨年の夏には冷夏の影響で各種の仕入れ目論みが大きく狂った経緯があったが、今回も行事の中止やら売れ線の変更やらで各所の苦労は想像に難くないところ。季節感がなくなってくる影響は計り知れないが、はてこれらの対策としてのヘッジを考える向きが如何ほど居ようか。

TOCOMでは石油製品先物が上場しているが、本来であればこんな時にこそもう既に東穀取が取引休止にしてしまった野菜先物など大賑わいして然るべきなのだが、まあしかしこれも放置されたままなんとも不発に終ってしまったのは残念。ただ、行く先天候デリバティブの必要性を考えればマーケットは大きく、商品取引所や損害保険会社などにとって商機なのはいうまでもないだろう。


ブラックボックス金融商品

さて、今週お騒がせだった話題はやはりSECによるG・Sの証券詐欺疑いの追訴であろうか。これのお陰で、株式から為替、そして商品までリスクマネーは一時冷や水を浴びせられ、マネーは国債に避難し多くが右往左往と振り回される展開となった。

この話、かなり以前から彼方此方で喧伝され噂にはなっていたがこの期に再燃するとは政策的なものも感じないわけではないが、問題の商品はサブプライムローンに絡むCDO、所謂合成債務担保証券モノで「アバカス」なるもの。この組成に絡んだのが昨年に当欄でも触れたジョン・ポールソン氏だが、問題は販売した同商品のショートやらCDSやらで利益を上げた疑いで証券詐欺を指摘されているもの。

ポールソン氏といえば鉱山会社と金関連デリバティブファンドも立ち上げコモディティー市場においてもその名は有名だが、商品市場も多少動揺するのだろうか?まあそれは兎も角、こうなると他の金融商品群も痛くもない腹を探られ、またこの結果如何によっては他にCDOを組成している金融機関も影響を受けるのは必至か。

しかしこの一連の報道でボンヤリ思い出されたのが一昔前に流行ったエクスチェンジャブル・ボンドだろうか。所謂EB債だが、高利回りを武器にかつては証券界のヒット商品になったが、満期日のインチキ株価操作やら仕切りモノやらの横行がとにかく酷かった。大体において自分がオプションの売り手に回っているのを認識している向きが購入者の如何ほど居たのであろうか? 

何処の国でも一寸捻ってある甘い香りが漂う金融商品は、プロでも個人でもその対にある存在の性質を先ず確認するのは必須ともいえる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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