4ページ目   雑記

歪と伸びしろ

今週アタマの日経紙総合・経済面では「ふるさと納税額最高」と題し、2024年度のふるさと納税の寄付額見込み額が23年度から1割増加の7690億円と19年度の2倍強に膨らみ過去最高を更新する見通しとの記事があった。このふるさと納税といえば今や利用者が1000万人を超え、住民税を払っている向きの6人に1人が利用し今やその市場は1兆円を超える巨大マーケットになっている。

そうしたことも背景に昨年はアマゾンなどガリバー級が参入し、大手コンビニでも昨年にローソンが先陣を切って業界としては初めて参入したが、今年はファミリーマートがそれに続いている。これの場合、他の仲介サイトとの大きな違いは寄付金が1000円等少額から可能で、返礼品コスト3割といわれるなかでも自社のPB提供等で更にコストを抑えられるメリットがあり、ファミペイ決済含めほぼワンストップで完結出来る構図というところか。

上記のアマゾンや楽天も自身で返礼品事業はやっておらずまさにコンビニならではの強味が生かせるわけだが、あとは他との競争力という部分がどうなるかだ。さて、返礼品といえばそうした一方で今年もまた返礼品(シャインマスカット)の産地偽装が発覚している。これまでも黒毛和牛や鶏肉に雲丹など彼方此方の自治体で偽装が発覚しているが、相次ぐ産地偽装は拡大化の裏でふるさと納税の抱える歪が表出したものか。

またふるさと納税を巡っては今年の秋から仲介サイトの利用者へのポイント付与が禁止される予定だが、これが及ぼす影響は自治体含め如何ほどのものだろうか?市場の増大化が続くなかで総務省の規制にも拍車がかかってきているが、差別化の芽が摘まれゆく中で各社共に今後他とどのように差別化を図ってゆくのか?今後の業界勢力図を見てゆく上でその辺には引き続き注目しておこう。


高粘着性の圧力

GWも終わり今日からまた通常モードだが、今月もまた値上げの波が続く。恒例の帝国データバンクによる主な食品メーカーにおける飲食料品の値上げ動向だが、今月は478品目となり単月の値上げ品目数では1月以降5か月連続で前年同月を上回り、この5ヵ月連続前年超えは記録的な値上げラッシュとなった2023年の6月以来、約2年ぶりの事となる。

分野別では調味料の192品目がトップ。足元では「カレーライス指数」が11か月連続で高値更新してきているが、ハウス食品はカレールウやレトルト製品を今月に8~15%値上げする。これまで同指数の上昇要因は具材やライスに因るもので、ルーの変動は無かったが今後はこの辺も上昇要因となってくるか。次いで加工食品の137品目が続き、コーヒー豆の高騰からUCCもコーヒー飲料など41品目を15~30%値上げするが、今年は早くもこれで2度目である。

2025年における飲食料品値上げの勢いは前年に比べ強い状態が続いているが、値上げ要因をここ数年で比較して見るに物流費と人件費の伸びがやはり目立つところで、これらが上がった分が価格に転嫁されるという動きが今年は特に強まっている。インフレに合せて賃金が上昇している向きはまだよいが、そうでない向きは今後もなかなか厳しい状況を強いられるわけでその辺を睨み価格競争力を維持すべく大手小売り各社の戦略も注目される。


何故いま福岡うどん?

さて所用で錦糸町へ向かう際に両国を通ったのだが、東京1号店としてオープンした福岡の「資さんうどん」の階段には夕食ピークの時間はとうに過ぎてはいたものの行列が出来ていた。2月のオープンからはや2か月経過してなおその人気はとどまるところを知らずといったところだが、福岡のうどんといえば先週はその福岡で創業74年の老舗「因幡うどん」も福岡県外初となる店舗を原宿にオープンしている。

彼らが提供している甘めの出汁に柔らかめのうどんの“ごぼ天うどん”は福岡のソウルフードというが、個人的には仕事で何度か福岡に行ったもののラーメンに走ってしまい残念ながらその味はいまだ知らない。それは兎も角、そういえば今月はもう一つ、実業家の堀江貴文氏が創業にかかわった会社もやはり福岡のうどんチェーン「うちだ屋」を買収するなど今月は福岡のうどんが話題だ。

冒頭の「資さんうどん」はすかいらーくHDの傘下、そして上記の「因幡うどん」の方は力の源HDの傘下となっているが、ここは博多ラーメンの「一風堂」も擁している。共に東証プライム市場の上場企業だが、こういったところは食材仕入れのスケールメリットやこれまでに培ったチェーン展開のノウハウなどでシナジー効果が発揮出来る強味もあり、先々は海外展開も視野に入れているのだろうか。

しかしながら既にトリドールHDの「丸亀製麵」や、吉野家HDの「はなまるうどん」が幅広く東京に進出しているなか、何故今まで進出してこなかったのだろうとも思ってしまう。近年のインバウンドの動向などを見てのものなのか否か、嗅覚の鋭いホリエモンまで手を出すあたり何らかの勝算があるのだろうが、いずれにせよその地方に行かない限り食べられなかったメニューが何処でも食べられるようになるのは我々にとっても朗報といえるか。


コンクラーベ

周知のように週明けにローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が亡くなったとローマ教皇庁が発表している。教皇の在任中は貧富の格差解消から気候変動対応まで呼びかけるなど地球規模の課題解決に向けて積極的な発信を行っていた。日本にも2019年にローマ教皇としては38年ぶりに来日し被爆地の広島や長崎でスピーチし核兵器の廃絶を強く訴えていたが、復活祭のミサの翌日に天に召されたあたりまるで選ばれたかにも思えるものだ。

ところでここからは服喪期間を経て教皇が空位になってから15日後以降に、多くの観光客も訪れるシスティーナ礼拝堂の密室で次の教皇を決める「コンクラーベ」が開かれることになる。世界中に居る枢機卿の中で投票権を持つ者が参加し、投票者は外部との通信が遮断され電話なども持ち込みが禁止されるが、裏側ではいろいろと根回しや権謀術数まであるとまことしやかに囁かれている。

コンクラーベといえば奇しくもその裏側を描いた映画「教皇選挙」が先月にはアカデミー賞の脚色賞を受賞し話題となっているが、ほかに映画という絡みでは記憶にあるのは一寸前になるが2009年の「天使と悪魔」か。ここではコンクラーベのプロセスなどかなり丁寧にわかり易いタッチで描かれており、前作の「ダ・ヴィンチ・コード」と共になかなか楽しめたが、いずれにせよこの礼拝堂から決定の知らせとなる白い煙が上がるのはいつか見守りたい。


揺らぐ安全資産の信頼性?

本日は金価格が1トロイオンス3291ドルを超えて週明けに記録したこれまでの最高値を上回ってきた。長年安全資産とされてきた天下の米国債価格が急落し長期金利の上昇幅は23年ぶりの大きさとなり、幅広いリスク資産に売りが出る一方でこのゴールドにマネーの逃避が進んでいる。しかし米国債といえば通常では株式の急落時などでは真っ先に矛先が向うものだが一緒くたに売られる今回の光景はなんとも不気味だ。

今後もこんな動きが続いて米格付け大手が米国債の格付け引き下げに動くようなら、自ずとヘッジファンドなども運用金融商品の入れ替え等で更に売られスパイラルに株安ドル安と連鎖しかねないがはたして何処が売っているのだろう?米ヘッジファンド説、中国政府説、はたまた日本の金融機関説まで出ていたがこの辺の憶測に関しては直近で農林中金の理事長は「そういった事実はない」と否定している。

海外投資家が直近で保有していた米国債は総額で約8兆5000億ドル、この規模は米証券業金融市場協会が推計した発行残高の約30%に相当するという。そのうち保有トップは日本の1兆793億ドル、2位に中国の7680億ドルと続くわけだが、この度の市時混乱にて米国債は或る意味アキレス腱との見方が出ている。日米の関税交渉ではヘッジファンド出身で金融市場を熟知したベッセント財務長官が担当だが、さてこの辺も交渉カードの一つになり得るのかどうか成り行きを注視したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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