5ページ目   外国為替

協調のハードル

本日の外国為替市場では、米国が追加金融緩和に踏み切るとの観測が広がった結果円相場が続伸し、東京市場として9/21につけた最高値である76.11円を更新となった。この円相場、先に週末のNY市場で1ドル=75.78円に上昇し市場最高値を更新しているが、マクロファンドのショート説やら仕組み債ノックイン説やらが目下飛び交っている。

しかし要は日銀が円安政策を導入しないことに投資家も業を煮やしてしることだけは間違いなく、昨日は財務相が円売り介入の準備を財務省に支持したことが明らかにされていたがこれも何処と無く虚しい。実際に介入となれば今年8月以来の事であるが、周知の通り先にスイス国立銀がスイスフランの上限目標を掲げ目標達成に向け必要に応じて無制限介入を実施する方針に倣うとの観測も一部出ている模様だ。

しかしどうだろう、そもそもフランと円では世界の通貨売買に占めるシェアが違い過ぎ、これだけ取引量自体が違う中ではたして同様の効果が得られるとは考え難い。結局多額の介入で腕力介入となるも、景気減速に歯止めがかからない米に火消しに躍起になっている欧州等との協調はハードルが高く聳え、その効果にも疑問符が付く中で政府はどう出るかこの辺が引続き注目されよう。


企業の円高セール

さて、M&A助言会社のレコフの集計では日本企業による海外企業のM&Aが活発化し、今年1〜8月の累計が昨年1年間を上回ったことが先週報じられている。バブル期に次いで2番目の水準に達しており、特にアジア向けは前年同期比で5割増といいこれまでの最多を更新した模様。

直近で加速した背景にあるのが震災による不透明なビジネス環境への対応が進み中断案件が復活、PEファンドのエグジットの用からオファーが増えてきていること等もあるがなんといっても追い風になっているのは昨今の円高。70円台後半というと既に円安というイメージが出来上がっているほどに最近は円高水準が定着してしまっているが、直近では対ユーロでも約10年ぶりの円高水準にまでハネ上がっている。

先に財務省は緊急円高対策を発表、それ自体はステロイドというより漢方的な処方であった為にマーケットに対しては殆ど材料視されなかったものの、外為特会資金を使った1,000億ドル緊急融資枠設定など限定措置ながら日本企業による海外企業のM&A促進など意図しているとも取れる。

ただ一方で、最多更新のアジア地域などコンプラ体制や法整備等が遅れている面もありリスク管理の重要性が問われよう。また対象企業の株価水準によってはエクイティフアイナンスの用も出て来るだろうが、周知の通り昨今の市場は低迷しているだけにはたして強行できるかどうかこの辺も次の課題としてみておきたい。


出資証券事情

本日も日経紙の一面は「円高で海外シフト・4割」等と相変わらず為替関係の記事には連日事欠かない状況が続いている。直近でも先物買越残高が前週比で増加してきており、投機筋側もなお円買い余力があるといわれているが関係者には戦々恐々の状態だ。

財務大臣も金太郎飴のように「動向を注視しあらゆる手段を排除せず断固たる措置を取る」と繰り返すばかりだが、よく考えなくても動向を注視する仕事だけにわざわざ言葉に出すまでも無いだろうし、FRB議長講演を前にはたして落ちてくるナイフを掴めるのかそう考えるとあらゆる手段も万策尽きた感さえ漂う。

前回はこのナイフを掴んだ途端にFOMCがゼロ金利政策維持を打ち出し怪我をしてしまった経緯から、介入は出来ればFRB議長講演まで温存しておきたいところがみえみえだが、その間に市場に虐められないだろうか?日銀総裁も充分な金融緩和を実行したとは言ってみたものの相場を見ればそうだったのか一目瞭然、このまま小出しな金融緩和に終始すれば在任中の金利上げなどとても実現せずに終る可能性が濃厚だ。

ところで日銀といえば株式(出資証券)も低迷、本日も300円安の40,500円と先の年初来安値近辺まであり約10年ぶり近くの安値を付けている。この円高や米国債の格下げで外貨建資産の目減りが懸念されているほか、過日の日経紙「まちかど」ではリスク資産であるETFの買い入れが中央銀行の信用力低下に繋がりかねないとも書いてあったが、出資証券価格と共にその手腕が問われようか。


善し悪し

先週末に各紙の紙面を賑わせたのが1ドル75円台に突入し、3/17に付けた過去最高値を更新した円相場の動きだろうか。本日の日経紙一面にも円売り単独介入準備等と虚しいタイトルがあったが、前回の介入を踏まえ足元を見られていただけに高値更新も自然で違和感が全く無いといった感じだろうか。

さて、こんな円高で今年のお盆はこの恩恵を受けなきゃ損とばかりに、海外へ向け出国する人々のラッシュで成田空港は賑わい、金券屋ではまたもキャッシュが品薄、某ホテルでは一泊100ドルという宿泊プランを打ち出しているところも出て来た。

そういえば一昔前に日経平均が10,000円の大台に絡んで低迷していた頃に日経平均終値が宿泊料金になる企画をやった台場界隈の某ホテルもあったなとつい思い出したが、稼働率に苦しむ昨今こんな相場を使った企画もいいのではないか?ただこの手は一度手を染めると消費者側は覚えがあるので、所謂諸刃の剣。アパレル関係のセールなんぞはこれのいい例でもはやその開催時期にしてもシーズン真っ只中と後戻りのきかないところまで来ている。

ともあれ市場にはこの円高に関して善悪両論喧しいが、この状況でなければガソリン始め諸物価は可也キツいものになっていた一方、産業界は末端まで悲鳴を上げている。立場が変われば自ずと意見も変わろうというものだが、しかし何とも諸事情勘案するに収拾が難しくなってきたものだ。


規制第二弾

さて、既に数日前から証拠金維持率の注意喚起やら最大レバレッジを謳う法人名義での口座開設の案内などが一部流布されていたが、周知の通り本日から「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」なるものによって、FX(外国為替証拠金取引)のレバレッジ規制(25倍以下)が実施された。

前回も規制による円高憶測があったが、今回もまた個人投資家の動向から円高に拍車等の記事を多く目にした。個人パワーが関係しているのか否か目下のところ前回時同様に直近でもまた円高、前回はQE2議論絡みで円が際立ったが今年は米債務上限を巡ってのデフォルト懸念と偶然にもこの期の材料には事欠かない。

一方度重なる規制でこの業界再編の思惑も出る中、上記の法人口座ではないが各社は個別でスマホの注文システム導入、総合口座、通貨の多様化、キャッシュバック、人気店の軽食を付けた女子会風セミナーなど客層を絞ったセミナー等々、顧客確保に各々余念がない。

また当の取引所サイドも本日から「中国人民元/円」、「韓国ウォン/円」、「インドルピー/円」、のアジア3通かペアを上場させたがNDFなど金利裁定が利かない分スワップ等どういった調整になるのだろうか?他かつて組成されたETFなど見るにリクイディティーの問題などどうしても気になるが、いずれにせよ取引会社、取引所併せこれらが今後奏功するかどうか見守りたいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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