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デジャヴ感

衆院選、都議選、そして先の参院選と歴史的な3つの大敗でもなおこれまで続投の姿勢を崩さなかった石破首相だが、本日に予定されていた自民党総裁選を前倒しするかを判断する手続きギリギリのタイミングで自民党総裁を辞するとの表明をした。ちなみに次の総裁選にも出馬しない考えで、分断を避けるべく後進に道を譲る決断と聞こえはいいが政治空白が長引いた感は否めない。

一方でマーケットの方は自民党総裁選を巡る混乱がひとまず収束に向かった事や、次期政権が野党の協力を得る為に大規模な経済対策を打ち出すとの観測も高まり一気にリスクオンの流れから3日大幅続伸となった。個別でも双璧と言える次期首相候補で防衛力強化を訴える高市氏関連では三菱重工やIHIが大幅高、もう一人の小泉氏関連では同氏地盤で百貨店を展開するさいか屋が一時ストップ高まで買われる大幅高となっていた。

そういえば今回首相の説得に動いたのが菅副総裁小泉農相であったが、菅氏の時もやはり説得されての一転退陣表明だったなと。この時も日経平均は大幅に6日続伸し、TOPIXに至っては約31年ぶりの高値となったのが記憶に新しい。今回と併せてデジャヴ感だが、財政拡張への不安も一部出て超長期債は3日に付けた最高水準に並ぶなどしており後任候補の政策如何でまたこの辺にも注意が必要になろうか。


NISA変容期

先週に金融庁は2026年度の税制改正や組織再編を含む機構・定員に関する要望案を自民党部会などで説明しているが、NISA拡充が柱となり対象年齢を18歳未満の子どもにも拡充したい方針であることが報じられている。NISAに関してはこれまでも投資額の上限が引き上げられるなどしてきたが、子育て支援の一環としてこの年齢制限の撤廃などを提言している。

この辺はこれまで年80万枠で19歳以下の子どもを持つ親向けにジュニアNISAなるものがあったが、これは一昨年に撤廃されている。少子高齢化に伴う資産形成ニーズの多様化もあり形を変えての復活なるかというところだが、NISA創設当初の縛りから比べるに本当に緩く?なってきた感がある。このまま拡充の枝葉でそれこそ特定や一般との損益通算までやってくれるとありがたいがさすがにそれは無理か。

しかし新NISAになりそれなりに参入層の幅も出て来たのかその買い付け銘柄も当初の高配当一辺倒から最近ではベスト5に当欄でも取り上げたビットコインに賭ける東証スタンダード市場のメタプラネット株もランクインしている。ビットコイン高騰に歩調を合わせて取った6月の高値からはや今週アタマには半値以下にまで下落しているが、過去には破綻し上場廃止になった銘柄まで買い付け上位に入っていたこともある。

ひと昔前のように株式市場では派手な仕手戦は無くなったものの、SNSの発達で斯様なミーム株に人気が集中する現象も出て来た近年ならではといえるが、同じくSNSを駆使しNISAをネタにした投資詐欺も横行している折、制度自体が形骸化しないでしっかりとした実効性を持たせるようにするためにはやはり基本を押さえた金融リテラシーは最低限不可欠といえるか。


グミの日

さて本日9月3日は“グミの日”とか。グミといえばその市場が近年急拡大していると聞き及んでいるが既に販売金額は21年にはガムを抜いている。思えばガムを抜いたこの年はちょうど東京オリンピックで選手村のメインダイニングで餃子と並んでこのグミが大人気と彼方此方で取り上げられていたのを思い出すが、そういった背景もあってインバウンドの土産ニーズも高まっての数字か。

また今年上半期ではスーパーやコンビニなどのグミの販売金額が初めて飴の販売額を抜いている模様といい、昨年の市場規模は前年比17%増加の1138億円と初めて1000億円を突破し17年比でほぼ2倍になっているという。今年上半期でも665億円と昨年554億円だった上半期の数字を抜いてきており過去最高更新が既に既定路線になっている。主流の系統も今後は変化するだろうが世の嗜好の変化を感じる。

ところでグミといえば中には大麻由来成分のCBD等含有しているモノも一部流通しているが、直近ではサントリーHD会長が購入したCBD入りサプリに関して警察当局の捜査が入ったとして同氏が会長職を辞任した報が入っている。同氏はこのほか経団連と並んで経済三団体の一つ「経済同友会」の代表幹事も務めているだけに何ともショッキングなニュースだが、何が出てくるか分からない世の中になったものだ。


初の18000円台

さて先に発表されたPCE(米個人消費支出)が市場の予想通りとなる一方、景況感指数が予想を下回った事でFRBの今月の利下げ観測が一段と強まり金利を生まない金に矛先が向いその価格がまたしても史上最高値を更新している。NYのCOMEXの先物は終値で初めて3,500ドルの大台を超え3週間ぶりに最高値を更新、国内でも小売価格の指標として昨日には初めて節目の1g18,000円の大台を超えて来た。

もう一つ、注目されているのはトランプ大統領によるFRB理事の一人の解任を巡る混乱か。既に法廷闘争に発展しているが、ハト派的な新しい理事の氏名も予想されるなか思惑通りに一連のことが運びこれが通ってしまえば中央銀行の独立性が脅かされることとなり、国債やドルへの信認が低下するという事に繋がりかねずこれまた安全資産への注目度が増すというもの。

ところで金以上に上昇しているのが金鉱株で世界最大手の米ニューモント株やカナダのアグニコ・イーグル・マインズなどは昨年末から金価格の上昇ペースを上回る勢いで高騰してきている。これまでも大手テックの「FANG株」ならぬ金鉱株の頭文字を取った「BAANG株」のベンチマークを上回るパフォーマンスが何度も報じられてきたのを思い出させてくれる。

近年は株式と相関性の低い商品に分散する狙いで金を組み入れた投信も多彩になってきたが、株式の高騰も同時進行の場面が多く上手く“両取り”が回っているのは想像に難くない。予測不能なトランプ氏の言動で今後も先行き不透明感が拭われる事は想像し難く、安全資産への注目継続からこうした金を組み入れた新商品の投入もまだまだ続きそうだ。


猛暑インフレ

過日に7月の消費者物価指数が発表されているが、依然とした高止まりで伸び率は3%を超えこれがかれこれ8か月連続となっていた。変動の大きい生鮮食品は含まれてはいないがこれらの伸びはひと際顕著で、今年の猛暑で野菜から食肉まで各種の生育不良が相次ぎ所謂“猛暑インフレ”の様相を呈している。

これら食品にとどまらず今月も引き続き多くの食品値上げが行われる。帝国データバンクによる主な食品メーカーにおける飲食料品の値上げは先月の1010品目に続いて今月は1422品目にのぼるが、値上げが前年を上回るのは9か月連続となり、単月の値上げ品目数としては4ヵ月連続で1000品目を超えている。

主な品目では調味料が427品目と最も多く、次いで冷凍食品などの加工食品が338品目、そしてオリーブオイル並みに価格が倍増しているチョコレートなど菓子が291品目と続くがこの猛暑の時期、ガリガリ君はじめピノやパルムにMOWから雪見だいふくまで皆に人気の需要が高い定番アイスもまたどれもこれも軒並み値上げとなる。

飲食料品の値上げは人件費に起因したものが一昨年は9%台だったものが昨年は26%超に、そして今年は50%を超えるとの予測が出ており、既に内部要因による物価上昇に起因したものにシフトしている。食品以外でも電気やガスは政府の補助金が減少し大手各社は値上げ予定、当の食料品も10月の値上げ予定品目数は今年の4月以来となる3000品目超えとなる見通しで、“食欲の秋”の到来が近いものの猛暑インフレと併せその食欲も減退しそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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