345ページ目   雑記

再試練

さて、先週末の日経紙夕刊一面には、都内の主要ホテルの客室稼働率が3月は49.8%と調査記録が残る1991年以降、過去最低となった旨が載っていた。平均稼働率は前年同月比33.6ポイント低下、国内主要ブランド含む3ホテルは40%を下回り、あのインペリアルは40.1ポイントの低下という。

これら東日本大震災の影響が出たのは一目瞭然だが、こうした老舗系?ではなく新興勢の中でも一際即決だったところには後発組の「シャングリ・ラ ホテル東京」がある。漸く先週から営業再開となったものの、此処は大地震一週間後から早々に営業を休止してしまった。出来たばかりで特に崩壊箇所も無かったワケだが、やはりその客筋を考えたらなるほど外資系ならではの決断の早さだった感もある。

話しは戻るがしかし関東のホテルは震災前であっても既に厳しい状況が続いており、各社生き残りをかけて時節柄受験シーズンを絡めたものとか、東京マラソンを前にしたランニング絡みのものから女子会モノまで個々でアイデア勝負を競い始めていたところ。

これらいずれも値下げを抑えて話題性で呼び込もうと図ったものだが、震災後さすがに背に腹はかえられなくラグジュアリークラスさえ最近は挙って特別宿泊プランなる案内を頂くが、中でもミドルとの境目が微妙なところは特別プランよりもはるか割高な通常プランで一般はリピートするであろうか?グルーポンなどもそうだが、この辺はそれほど極端ではないにしろそうした動き絡めて今後の成り行きを見守りたい。


詰まるところはその体質

さて、どの程度危ないものが飛散しているかわからないものの、天気も良かったので本日は久々に歩いていつもの所へ向かったのだが、徒歩だと日頃通り過ぎて気付かなかったものが目に入ってくる。そんなものの一つにあの東電の社員寮があったのだが、一寸見ない間に其処には「○○町寮」とだけ印字され、社名が入っていない真新しい表札へと付け替えられていたのが一際違和感を覚えた。

そんなことを感じながら暫し眺めていたら、関係者?なのか通りがかりの女性が、原発事故以降に社員への苦情や脅迫があまりにも頻発していることで、会社側が安全のために都内の社員寮の表札から社名を消すように指示したようですと話をしてくれた。しかし役員ならともかく一般社員までそんな事情があったとはなんとも悲しい限りだ。

そんなワケでここ数日東電モノが続くが、薄っぺらな演技で首相に怒鳴られて以降体調不良とかで雲隠れしてしまった東電社長が一ヶ月ぶりにノコノコ出てきて会見を開いていたが、やはりというか上から目線で答えになっていない答えに終始し核心には触れず終い。そもそも世界を震撼させた危機の最中、その渦中の企業のトップが体調不良を理由に不在などというのは前代未聞、こんな部分で企業の体質が現れるというものだ。

そうそう、体質といえば天下り斡旋禁止の気運の中でも、ここは今年の年明け早々に経産省OBを迎え入れている。過去数名が当初の顧問職を経て役員になっており、既に青写真が出来上がっているということか。しかしもともと今回怒鳴られて雲隠れしてしまった社長の起用はこうした官僚的な東電の体質を一新するとの策があったと一部指摘もあるが、朱に交われば赤くなる。ココの歴代トップは原発関連の不祥事で辞任に追い込まれた経緯があるが、またも同じことを繰り返す結果になるのは想像に難くないか。


天災とは別な国難

さて本日もまだ大きな余震が繰り返されているが、世界を震撼させた東日本大地震からちょうど一ヶ月が経過した。これによって失ったものは数多計り知れないが、天災で失う分には不可抗力ともいえるものの、人災で失われてゆくものは何とも憤りを覚える。あまり政治モノには触れたくないが、この一ヶ月の首相の陳腐なパフォ−マンスには辟易というもの。

未曾有の国難に必死で立ち向かう国民に寄り添う姿勢は全く感じられず、東電対応でも本社に乗り込んで怒鳴り散らすだけ。こんな周章狼狽ぶりがこの一ヶ月で世界に喧伝され、世界の世論も称賛から一部は不信に変わりつつある。直近では先に低レベル放射性物質を含む汚染水を海に放出する際、日本政府から事前連絡が無かった事に関して韓国首相が「日本は無能」と述べていたが、なるほど反論出来ようもない。

斯様な調子だから政権交代後初めてとなった統一地方選で民主党は3知事選を全て落し道府議選でも惨敗、よりによってこんな未曾有の国難という時にこんな素人首相というか内閣が政権の座にある日本は本当に不幸というしかあるまい。

ところで今月4月の日経紙「私の履歴書」は前米大統領ジョージ・W・ブッシュ氏だが、初回の冒頭文にはあの9・11の時の事が、「指導者たるもの、どのような危機に際しても泰然自若とすべし」リーダーが過剰に反応すれば、即座に国民にも伝搬する。だから、大統領としての行動は常に客観的に見つめていなければならない。と書いてあったが、まさに今の首相に向けたメッセージなのかはたまた皮肉か。


守れるかブランドイメージ

最近目立つようになったものには震災以降、各所のアンテナショップやネット販売などで、原発事故に絡む風評被害に苦しむ福島県を始めとした被災地を応援しようとそれらの県を中心とした産物を扱う向きの急増がある。

しかし立場変われば解るような気もするが、各国ではこの辺の扱いがやはりナーバス。本日も日経紙国際面には「日本の食品、警戒強まる」として載っていたように輸入規制が特に厳しくなってきているのは「食」で、当初は中国が5県からの乳製品と野菜とその加工品、果物、水産品の輸入を禁止、これ以外の産地についても全ての食品と農水産品に対して放射線検査を実施していたが、直近では25カ国・地域が輸入規制を布き一部に至っては日本産全ての食費輸入を停止にしている向きもある。

汚染一色という日本のイメージが、実態以上に独り歩きし不当な風評被害や禁輸措置に発展する事態は可也問題であるが、そうした背景を作り出している一因として政府のディスクロ体制が先ず問題か。現在の危機がどの段階なのか、正しい情報を素早く日本から発信すれば風評被害や過剰反応は減らせる筈だが、米国の最新鋭無人偵察機が撮った原発の写真も公表を控えさせ、気象庁の放射性物質拡散予測も政府側は公開を控えさせていた。自分の国の放射性物質拡散予測を知るのがドイツなど海外のHPが頼りというのも異常な光景だったが、先ず徹底すべきことは、的確且つ十分な情報公開だろう。

今週の日経紙にも書いてあったが、「安心・安全」というのは日本が長年かけて築いた一種の「ブランド」である。上記の中国などは特にこれを好み高価な食品や化粧品等には大金を叩いてきたものだが、大地震を堺に今や売り場は「原産国は日本ではない」とのアピールに必死という様変わりである。

輸出がここで滞れば経済の要だけに復興を遅らせるのは必至、世界各国が今日本を応援している中、この連携の枠組みをうまく使い各国と密に連絡し合い、包み隠さず情報公開しながら情報不足が招いた不安の解消に努めるべきだろう。


世論と解釈

さて、政府は先に東日本大震災の復旧・復興に向けて検討している基本法案の素案を明らかにしているが、5年間を「集中復旧復興期間」と位置付け、集中して人、物、カネを投入と。復興財源を確保するために復旧復興特別税の創設や未定ながら震災国債の発行などを打ち出している。

さてこの復興財源としての「震災国債」だが、これについては日銀引き受けの検討についても言及していた。一般的に国債を中央銀行が引き受けるというのは財政法で禁じられているが、「特別の事由がある場合において国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りではない」とも定められており、これを巡って目下のところ賛否両論である。


しかし上記の財政法の一文に絡んでは、国有化論が出ている東電絡みで原発事故に適用される原子力損害賠償法の一文「異常に巨大な天災や社会的動乱時には電力業者の賠償責任を免責」との規定も同時に思い浮かぶ。国民感情を考慮して政府側はこれに関しては否定的な発言をしているが、これは日銀とて同じだろうか。

こうして考えると今回の震災ではあらゆるものにモラルハザードが付き纏う。実施するか否かは未定ながらいずれも万人の理解が得られる結論を探らなければならないだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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