347ページ目   雑記

Black Friday

先ず、このたびの地震および津波の被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

なんといっても直近の話題は上記の通り、引け間際のマーケットも直撃した観測史上初の「東日本巨大地震」である。個人的には「備えあれば憂い無し」とはいうものの、数年前に用意した防災グッズも埃を被り非常食等の賞味期限切れと共にリスクに備える感覚が薄れてきたタイミングでの不意打ち?で、まさに「天災は忘れた頃にやってくる」といったところか。

しかし戦後生まれなど、間近に「有事」を経験していない世代など、テロやデモ含めて今迄の対岸の火事的概念が一気に無くなった瞬間ではなかっただろうか。未曾有の事態だけに早速というか地震発生から数時間後には、東京23区内の停電決定とか、損壊した某石油施設からの有毒物質に注意とか、怖いモノでは原発関係の不安を煽るような実しやかなメールがいろいろなところからひっきりなしに届く。加えて報道関係でもこんな情報社会の世の中、いざ有事になると呆れるくらいにディスクロが遅く且つ不正確なのが歯痒いところ。

一方では、毎度お決まりで携帯が機能しなくなる中、活躍したのがFacebook等か。欧米始めそれこそ世界中の知人から安否を気遣う声が届いたが、瞬く間にこちらの状況が詳細に満遍なく伝えることが出来るなど本当に便利な時代になったものだと改めて実感。先の京大カンニング事件を当欄で取り上げた時にネットは「諸刃の剣」としたが、まさに使いようだなと。

ところで相場関係もさっそく各方面が集まって各々市場展望を展開しているが、所詮はイマジネーションの世界。阪神大震災の時の憶えでまたデリバティブはもとより個別でも震災関連がお決まりで物色されているが、原発問題が案じられるなど既に銭金の問題も超越している有事。世界中から続々と支援が寄せられている最中だが、関係者各位共々これらに感謝しつつ一刻も早い復旧を祈りたい。


危機から生まれる技術革新・2

さて、今週は乱高下の株式市場の中で途中個別物色された物には住友精化等があったが、3/8付日経紙にも載っていた通り、同社は東京大学教授と共同研究で温暖化ガスの二酸化炭素を原料に樹脂製品を作る実用的な技術を開発したことが背景となっていた。ちょうど今はこの記事の直ぐ隣に載っていたように、原油高騰が最大のリスクとされている中、石油系合成樹脂の代替期待の思惑が出た格好となった模様だ。

しかし、最近はこの手の新技術開発発表の報道がやけに目立つ。先週末の日経紙一面では住友電工がリチウムイオンに代えて価格が約十分の一と安価なナトリウムのイオンを使う新型の蓄電池を開発したと報じており、また同日の企業面ではレアアースの価格上昇により代替技術への関心が高まる中、戸田工業が東北大学との共同研究でレアアースを使わない磁石材料の大量合成に成功したと報じられていた。

このレアアース関連については、先月も芝浦工大が微生物を使って効率よく回収する技術を開発した件や、日立金属やDOWAホールディングスについても同様の件で書いたが、これと並行して一方ではこの素材自体を使わない上記のような新技術も既に成功するなど更にその次のステージまで捉えておりまさに日進月歩の感である。

一昨年の6月には「危機から生まれる技術革新」のタイトルで各企業の巨額な先行投資の模様を書いた事があったが、このときも書いたように今迄環境の変化を拝啓とした危機における産業界の崩壊の度に、何らかのそれを乗り切る革新的技術の普及でそれらを克服してきた経緯があるが、そうした一端が上記のような報道に感じられ、M&A熱も高まるなか各企業が立ち止まっていない安心感を覚える瞬間である。


カンニング変遷

さていまだに紙面をにぎわせているのが、京大始め複数の大学の入試問題が試験中に流出した例の事件か。この事件を受けて直近の公立大二次試験関係では携帯電話を封筒に入れさせて回収している光景など見られたが、当初一般的には想像もしていなかった被害届とか逮捕にまで発展するに至り事は穏やかでない。

この騒ぎで株式市場でも不正受験監視関連銘柄が突飛高し、池上通信機や三精輸送機等が物色された。特に池上通信機などは発行済み株式が7千万そこそこしかないところに先週末はまるまるこれが回転してしまう1億株以上もの出来高となる異常人気を呈した。その辺はともかく容疑は偽計業務妨害としているが、これが杓子定規な適用かどうかいろいろ論議も出そうだ。

基本的に入試関係というのは暗記を問うのが殆どと長年認識しているが、捻る部分の無い中で時間も限られる形式行事と考えるなら効率を図ってしまうのも違法行為という面を除外すればある面頷けなくもない。逆に入試問題も暗記色の薄いものへ変わればもう少し「考える」という部分で本来の姿になるのではないか。

しかし先の海上保安庁の尖閣諸島ビデオ流出事件といい、今回のカンニング?事件といい、まさにネット系の縦横無尽。便利な一方万人が使い方一つで犯罪にまでなってしまうに諸刃の剣でこんな黎明期?にはいろいろと考えさせられる事例がまだまだ続くだろうか。


株主への手紙

さて、今週は中東情勢を睨んで米株式も乱高下しているが、その週明けは大幅高から始まった。この背景には原油相場下落を好感したこともあったが、もう一つ米投資会社を経営するウォーレンバフェット氏が26日に公表した「株主への手紙」で、米国の不確実性を一蹴するかのような将来の楽観論を展開した事も買い安心感を誘った模様。

「象を撃つ銃の弾丸をこめ直し、引き金を引く指はうずうずしている」という表現で、380億ドルの潤沢な手元資金を活用した大規模な買収の準備が整っていることを示唆した模様だが、米トムソン・ロイターによれば今年に入ってから2月第1週迄のM&A発表額は約25兆円以上と、前年同期日で69%増え2000年以来の高水準となっているという。

M&Aが盛んだったこの2000年はちょうどITバブル時で、ネット関連企業がやはりこうした舞台の主役であったが、今年はこれがエネルギーや素材関連に変わっているのが特徴。メジャー化の波については当欄で度々触れたが、資源等の需要増や価格上昇を見据え世界的に再編機運が盛り上がってゆくのは必至。

上記のバフェット氏の買収対象は残念?ながら日本企業ではないようだが、国内も政府が企業のM&Aを促す為の産業活力再生法改正案を閣議決定し企業のM&Aを促す方向で進んでいる。目下のところ新日鉄と住金の合併手続きに絡んでこの2兆円規模の大型案件の財務アドバイザーを巡って激しい提案合戦を繰り広げている最中だが、日本も一段と合併・再編が活発化してくるかどうか注目である。


遅々として進まず

さて、今週は郵政・金融担当相が閣議後会見にて一次産品の価格高騰は予断を許さない状況と説明、「総合取引所」を進める議論はより一段優先度が高まったと思うとの認識を示していたが、この辺に絡んでは先週末の日経紙経済面に「総合取引所」の在り方を検討する副大臣級の会合が約2ヶ月ぶりに再会した旨も載っていた。

「総合取引所」に関しては先に今国会への提出を断念する方針が伝えられ、12年の通常国会での関連法案の提出を目指すものの、調整が難航すればさらに遅れる可能性が指摘されている。もともと昨年末に公表した中間整理において両論併記になっていた段階で暗雲漂っていたわけだが、やはりというか農水がネックになっている模様であるしそれ以前に政治主導を謳うその政治そのものが混迷極めている状況では何とも厳しいところ。

内閣支持率が約20%程度と末期的な状況で、本日も農水政務官が農水相に辞表を提出したりと自壊作用の話題には事欠かないが、周りが斯様な状況であるから各取引所サイドも模様眺めに回っている感じで、既にまな板の鯉状態になっている取引所はともかく、外枠がハッキリしてこないことには各所も腹を括っての動きはなかなか取り辛いか。

このところ書いてきた通りこの数週の間に世界の取引所はさながら風雲急を告げるような再編の構えを見せているが、そんな中で数年前に日本に歩み寄ったNYSEなどはゴタゴタの中で疎遠になってしまっている。諸外国の開拓も進められず共同歩調も取れない土壌を作っている行政の責任は重いと言わざるを得ないだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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