9ページ目   雑記

花火大会変遷

さて夏の風物詩である花火大会の季節だが、先の足立花火大会は実に開始20分前に中止の憂き目に遭ったものの、その後の葛飾納涼花火大会や先週行われた隅田川花火大会は不安定な天候ながらもなんとか開催の運びとなった。ところで花火大会といえば今年に中止となった花火大会は22か所に上り、規模が縮小された花火大会もあったという。

昨年の当欄では「物価高が叫ばれるなか人件費や花火の購入経費等が軒並み上昇したことを背景に従来設けていた荒天時の順延日が軒並み廃止されている。」と書いていたが、コロナ前と比較すると1.8倍にもなった花火(火薬)価格や、警備費を含む人件費や準備にかかる様々な費用の高騰化により今年は更にこれらの動きが顕著化してきているという感じか。

とはいえこれまで続いてきた風物詩はなんとか守りたいとこれに対応すべく動きも活発化しており、冒頭の隅田川花火大会や葛飾納涼花火大会でも市民協賛や船舶の標旗販売等を行っているが、帝国データバンク調べでは今年に国内で開催される主要な花火大会のうち約7割となる79の大会がこうして観覧エリアに有料席を導入しているという。

また支援の輪は企業にも広がっており、キリンビールでは新商品の売り上げの一部を活用し全国の花火大会を支援、花火を打ち上げる為の資材・人出・会場の設営などに支援金を充て減少傾向の花火大会を守り未来につなげてゆきたい考えという。今月は来週末に神宮外苑花火大会が控えるが、これまで毎年当たり前に見られると思った夏の風物詩もこの物価高を背景に今後存続をかけどう形態が変わってゆくのか注目してゆきたい。


上場までも上場後も

先週は100年に一度といわれた渋谷再開発のラストピースともいえる渋谷駅直結の大型複合施設である「渋谷サクラステージ」がオープンしている。この開業式典では出席していた首相は、「新しい資本主義の重要な担い手はスタートアップだ。スタートアップ支援の拠点となって、新しいイノベーションを起こす役割を期待したい。」と述べていた。

このサクラステージ、起業家の支援を目的とした会員制のシェアオフィスを擁しており施設に入居するスタートアップ企業と大学の産学連携の取り組みを実施する予定となっている。ところで冒頭の首相挨拶にも力が入っていた通り、政府は日本経済の起爆剤として2年前には「スタートアップ5か年計画」を作成している。

90年代に渋谷は米シリコンバレーに倣い渋谷ビットバレーといわれたものだったが、この5か年計画ではスタートアップへの投資額の大幅引き上げ、将来においてはユニコーン企業100社創出、またスタートアップ10万社創出などを目指すとして、日本がアジア最大のスタートアップハブとして世界有数のスタートアップの集積地になることを目指すとしている。

とはいえ日本のスタートアップは上場ゴール等と言われて久しい。先週末にも東証グロース市場に隙間時間で働ける単発バイトの仲介アプリを展開するタイミーが上場していたが、セカンダリーマーケットのステージに移行した後も伸びてゆくには法整備等で諸外国に比べ制度面などで見劣りする課題もあり、上場まではもとより今後は上場後も視野に入れた支援策定も求められようか。


猛暑と消費

今日も外へ出た途端に猛烈な熱気が身体を襲う暑さであったが、各地で体温超えの40度台に乗る気温を記録する地点も増えて来た。既に環境省は4月末に災害級の熱波に備える為に「熱中症特別警戒アラート」の運用を全国で開始しているが、イベント等でもこれにちなんだモノも多く東京ビッグサイトでは先週末まで関連会社83社で暑さを和らげる商品を体験できる猛暑対策展が開催されていた。

TVでもこの模様を報じていたが、機能は申し分ないのだろうが中には頭をすっぽりと覆うモノや長袖など見ている方からは更に暑さを増幅させるモノもあるなか、視覚的にわかりやすいモノとしてシャーベット状の飲める氷、アイススラリーなど各社力を入れているようだった。シャープではこれを作成出来る冷蔵庫を披露し、カリカリ梅で有名な赤城フーズでも今年からこれの販売を開始している。

こうした商品含め熱中症保険なども加入者が急増するなど猛暑関連の出費増加が予想されるが、一部シンクタンクでは夏場の平均気温が1度上がる毎に2600億円程度の個人商品の押し上げ効果があるといい、今月の平均気温は平年より2度ほど高いといわれている事で5000億円近い押し上げ効果で消費の盛り上がりが期待出来るという。しかし、思えば環境省は2005年に地球温暖化対策の一環として「クールビズ」を推奨した経緯があるが、あれから約20年経ってなお更なる温暖化の進行には危機感を禁じ得ない。


可能性の芽

さてパリオリンピック開幕目前だが、この期に及んで日本女子体操代表の主将でもあった宮田笙子選手が喫煙と飲酒行為により代表を辞退したというショッキングなニュースが先週に報じられた。自身の経験からこと体操競技に関しては思い入れが強く、この件に関してもいまだ賛否両論喧しいがこれにより1964年の東京五輪以来、60年ぶりのメダル獲得が期待された団体総合も異例の4人体制で戦いに臨むこととなる。

選手の登録は現段階で既に締め切られており、今回の件が交代要件にもそぐわないためにリザーブの杉原愛子選手の繰り上げ起用は適わないという。これまで2度のオリンピック出場をはたしキャリアもその衰えない演技からも繰り上げには申し分のない逸材だと思ったが、先のNHK杯で僅かなポイント差から代表入りが叶わずに涙をのんだ彼女の姿が思い出されるだけになんともやるせない想いが沸く。

そういえば今から6年前には自身を指導するコーチの暴力指導による無期限登録抹消処分の不当性を訴え、同時に協会関係者のパワハラを告発して以降すっかり表舞台から姿を消したリオ五輪代表の宮川紗江選手も先週に現役引退を発表している。宮川選手も当時女子では彼女しか出来ない大技を持っていたものだが、可能性のある才能が怪我以外のもので潰れていってしまうのは日本の体操界にとって多大なる損失となるのは間違いなく残念で仕方がない。


丑の日2024

本日は存じ「丑の日」。この猛暑のなか、うな重でスタミナでもつけようかと舌鼓をうった向きも多かったのではないか?さて鰻といえば今年も東アジア全域で稚魚が大不漁ということもあり養殖量も世界的に低迷、東京都中央卸売市場ではウナギ1キロの平均価格がこの20年で約3.3倍にもなっている。街の鰻屋も最近では価格破壊を売りにした新興勢も出ているものの、老舗どころの多くは値上げを余儀なくされ庶民にはますます気軽な食べ物から遠い存在になりつつある。

そんななか朗報とされているのが、水産庁がシラスウナギの卵を人工的に孵化させ人工シラスウナギから成魚まで育てる完全養殖を実用化させようとしている件か。とはいえこの完全養殖の人口シラスウナギにかかるコストは、現在のところ一般養殖で天然シラスウナギにかかるコストの約3倍かかるという。朗報とは言うもののこれは一般に流通するまでの期間含め実用化のためには解消すべき課題は多い。

そこまで待ってはいられないということで民間でもウナギをターゲットにした開発が日進月歩だ。昨年は丑の日を前に植物性原料による「謎ウナギ」なるモノを発売した日清食品は今年も見た目や味を改良した新製品を発表、昨年は1分間で限定の1000セットが完売したというが、今年はその5倍の5000セットが1分未満で完売したという。

プラントベースフードの類はコストに見合っているのか否か疑問符の残るモノも多数あるものの、代持続可能な世界に貢献するというコンセプトがSDGsに敏感な一部消費者の共感を呼び易い昨今の流れも後押ししていることも確かで、そういった意味ではこの市場もまだ伸びしろがありそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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