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浮かれる裏の暗雲

劇場版「鬼滅の刃」無現城編第一章がロケットスタートとなっている。オープニング成績が歴代1位、初日成績も歴代1位、単日成績でも歴代1位と3つの記録を更新した模様だが、ところで3つの記録といえば衆院選に続き都議選、そして今回の参院選でも歴史的な大敗となった与党も3つの大敗で歴史に残る記録になりそうだ。物価高含め諸々の課題が山積みとなるなか、その対応に対する厳しい民意が表れた格好になったか。

一方で3連休中日の投開票となったことで猶予があったぶんマーケットは冷静に反応し連休明けの大引は小幅続落に終わったが、何とも絶妙なタイミングで日米関税交渉が合意したとの報で本日の日経平均は急騰、個別では大本命?の自動車セクターが集中物色されトヨタは約38年ぶりの日中上昇率を記録し、この合意で日銀も利上げをし易くなるとの思惑から銀行株も一段高、これらの動きからTOPIXも終値ベースで史上最高値を更新している。

ともあれかつて第1次安倍政権下で安倍総理に言った責任論が今回ブーメランのように自分に降りかかる格好になっているわけだが、当の首相は日米関税交渉が正念場な事を引き合いに大臣続投を表明。果たして今回の関税交渉合意という結果が出たことで市場の関心は首相の進退に移るわけだが、もはや自民党自体が総裁交代で復権が叶う構図でもなく乱立する多党制が続きそうな構図は浮かれるマーケットの裏に潜む混迷度合の深まりを表しているか。


法案成立

先週も当欄で少し触れていたが、米ドルに価値を連動させる暗号資産の一つであるステーブルコインの普及を目指すところの「GENIUS法」が先週末にトランプ大統領の署名で成立している。ドルの世界の基軸通貨としての地位を次世代にわたり確保することになると語った通りやはり米ドルの覇権維持の想いは強いと感じたが、国際送金などにおいては既存のネットワーク「SWIFT」を介した銀行間送金などと比較するに決済の高速化やコストも安く済むメリットが光る。

現在ステーブルコイン全体の時価総額は約38兆円、米では既に暗号資産交換業者のコインベースがECサイトの支払いにこのステーブルコイン対応の決済サービスを発表しているが、これが普及することになると手数料が障壁となり逡巡していた加盟店が挙ってこれを導入することも考えられ決済市場を独占してきた大手カード会社も今後は競争に巻き込まれることになるか。

競争といえばもう一つ、これらの動きで預金からの資金移動の増加を懸念する銀行業界も自前のコイン発行を検討する向きも出始めるなどざわつき始めている。一方でBIS(国際決済銀行)はステーブルコインについてさまざまなリスクを挙げ報告書で通貨として機能するには不十分と評価しているが、此処はCBDC(中銀デジタル通貨)が次世代の中心になると明示している。トランプ政権は大統領令でCBDC発行を禁止しているが、今後CBDCも発行が見えてくるにつれこちらの覇権を争う鬩ぎ合いも一層激化してくるか。


土用の丑2025

さて、明後日は土用の丑の日である。この丑の日といえばいわずもがなウナギだが、水産庁によれば今年のシラスウナギの国内漁獲量は昨年比で倍増しキロ当たりの平均価格も前年の約半値で推移しているという。そういった事で少し手頃になるのではとの期待もあるようだが、この辺は成育などタイムラグもあることから一部小売りではやや値下げを意識したところもあるようだが総じて足元では例年並みといったところか。

とはいえ今後はコメよろしく徐々に値段が下がって来る事に期待が募るというものだが、一方で不穏な空気も漂う。EUの動きがそれで、絶滅の恐れがあるということから先にニホンウナギを含むウナギの全種類について国際取引を規制するワシントン条約への掲載提案を正式に決定している。11月~12月に行われるワシントン条約の締約国会議で提案が採決されれば、キリン等の動物と同様にこのウナギも輸出する際に許可証の発行が必要になる。

許可証云々となるとこれまでよりも国際取引に時間がかかる可能性も浮上することになるがこの可否如何で供給量が減少した場合、ウナギに対する需要が現状のままであれば値段は上昇傾向になるか。当然ながら国内で捕獲し出荷する純国産であれば規制の影響はないが、ちなみに2024年の国兄のウナギの供給は約7割を輸入に頼っているのが現状なだけに日本としてはなかなかの打撃になる可能性が高い。

ただこうした保護意識が高まるなか国内でも動きが出ている。先に水産研究・教育機構は完全養殖のウナギを量産するのに必要な基幹技術の特許を取得しており、ここには大手民間企業や大学も協力し連携を図っている。これまでこの手では鯛やマグロなどで完全養殖の商業化が進んできたが、はたしてウナギもこれに続きいつでも堪能する事が出来るようになるかどうか今後の進展に期待したいところ。


覇権維持

今週はビットコインが12万ドルを突破しまたも史上最高値を更新している。この暗号資産といえば時を同じくして米下院議会は、ステーブルコインの信頼性を高める法案や暗号資産の包括的な規制枠組みを明確にする所謂ジーニアス法案など一連の法案の審議をはじめているが、この辺の動きが暗号資産業界にとっては追い風となることでビットコインの大台突破に一役買った格好か。

こうした普及を急ぐ?背景にはブロックチェーンの技術を用いた次世代資金決済網を世界の金融等におけるプラットフォームにし、米ドル通貨覇権を維持する狙いとの見方もある。現状世界で流通している米ドル連動のステーブルコインは約2400億ドルともいわれているが、数年後には約2兆ドルにも達するとの見方も出ている。ブロックチェーンも技術が成熟し規制も整備されつつあるので、金融業界のインフラも再設計されるとの指摘もある。

そういった事で既に暗号資産大手のコインベースなどはトークン化した株式の提供に向けてSEC(米証券取引委員会)に認可を申請している。上記のステーブルコインもそうだが、金融資産のトークン化も年間で5割のペースで増加してゆくとの試算もあるだけにそのポテンシャルへの期待は大きく、今後もこの手の分野へ海千山千が挙って参入してくることが予測される。


次のイグジット

本日の日経紙金融経済面には、日銀が金融システム安定策の一環として2002年から銀行から買い取ってきた2兆4000億円あまりの株式を、金融不安が後退したとして2016年から続けていた売却を完了した旨の記事が載っていた。当時は中央銀行としては極めて異例の措置といわれたものだったが、そこから20年余りをかけてようやくその役割を終えた形になるか。

さてこの保有株式の売却が完了した事で市場の関心は日銀が保有する簿価で37兆円、3月末時点での時価にして70兆円のETFの取り扱いに向かう。この扱いを巡っては野党の一部からはこれを政府が買い取ったうえで分配金収入を子育て支援の財源として活用する事などを求める案などが浮上しているが、このスキームと同じことを既に当欄では2年前に書いている。

他にも日銀勘定から別の機関等に移管・分離させてその出口を探るというバブル真っただ中の一時期に一部証券会社でも流行った?“飛ばし”のようなスキームも挙げたのを思い出す。また相応のインセンティブ付与を前提に売却制限を付けて個人へ譲渡する案などもあったがいずれにせよ一時期は170年かかるともいわれたこのETF処分、今後どういったペースで処理をしてゆくのかが焦点となる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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