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3日連続ストップ高!

当欄で15日に「オルタナティブ資産のオルタナティブ」と題して書いていた東証スタンダード市場の「メタプラネット」株に、同じくスタンダード市場の「リミックスポイント」株が先週に破竹の勢いを演じた。取り上げた当日のメタプラネットは前日比15円安、リミックスポイントは前日比22円安だったが、その翌日から反発、大幅続伸となり両者共に3日後の20日から22日まで実に3日連続でストップ高の離れ業を演じることとなった。

これらビットコインなどのオルタナティブ資産関連は今後のビットコイン価格に懸かってくるだろうとしたが、ビットコインの約4か月ぶり最高値更新でこれらにも火が付いた格好になったか。これらと似たパターンではコメ価格の急騰に合せて株価が先月の安値から1か月もかからず軽く2倍以上に大化けした東証スタンダード市場の「木徳神糧」なども小泉新農相発言でコメが値下がりに転じる可能性が意識され先週は急反落となっていた。

冒頭のメタプラネットはさすがに3日間も連続でストップ高を演じたとあって週末はザラバで一時ストップ安に、リミックスポイントの方もストップ安と急反落して引けることとなったが、トランプ氏の関税政策の景気への影響や財政懸念等を背景とした金利の上昇など、マクロ環境の先行き不透明感が残るなかこの手の個別物色が特に目立つ展開となった1週間であった。

上記のこれら関連株など当の原資産以上の値上がりとなっており読みが当たった向きはたまらないだろうが、投機色が濃くなってきている場味にはいささか不気味さも禁じ得ない。ビットコインにしてもそもそもの素地に米金利の上昇がありこれを受け先週は国内でも長期金利の上昇が顕著であったわけで、今後もこれらの動向と併せてマーケット全般から目が離せないか。


吸い上がる浮動株

さて、今週アタマに取り上げたメガバンク勢も決算に合せて自社株買いを発表していたが、過日の日経紙では「株数減少時代に日本突入」と題し、資本効率改善手段としての大規模な自社株買いを背景に昨年は上場企業の株式発行額から自社株買い額を引いた値がマイナス12兆円となるなど日本の株式市場で株数が本格的に減る時代に突入している旨の記事があった。

この自社株買いだが、ちなみに先の関税ショックで急落した4月初旬から今月7日までの設定枠は4兆3000億円と前年同期の3倍になっている。これまで過去最大といわれた昨年の自社株買い実績は18.7兆円であったが、今年は新年度から今月第2週までのわずか1か月ちょっとのところで既に約5.2兆円に上るといわれておりこの段階でもう28%近くを達成していることになる。

ところで東証が本日発表した5月第3週の投資部門別売買動向によれば、海外投資家は日本株を6232億円買い越しておりこの買い越しはこれで7週間連続となっている。こうした海外勢の買い越しの背景には、米関税政策等で外部環境が逆風のなかでも活発な企業の自社株買いなど想定以上の株主還元策を出している事などがポジティブ視され日本株にマネーを引き寄せている要因の一つとの指摘もある。

足元ではモラトリアムの90日間が折り返しを迎えるなか経済再生担当大臣が日米関税交渉に向け明日には3回目の訪米が予定されているとかだが、この日米関税交渉の行方がどう決着するのか見えないなか、冒頭の通り決算発表と併せて自社株買いを発表する公表する企業は少なくない事で、海外勢含め投資家がこうした株主還元姿勢を拠り所にするという動きはしばらく続きそうだ。


老舗名店も抗えず

本日に帝国データバンク横浜支店が伝えたところによると、明治17年に横浜中華街で創業した現存する日本最古の中華料理店の流れを汲み東京、大阪などで6店舗を展開していた「聘珍楼」が事業停止し清算手続きを進める旨の掲示が行われたとしている。元の聘珍楼は景気悪化で法人需要が落ち込んで業績が悪化し、平成28年には香港ファンドの出資を受けた新法人「聘珍楼」へ事業譲渡していたもの。

この新法人から分割した別の法人が運営する「聘珍楼横浜本店」もあったが、こちらも以前取り上げた通り2022年に破綻し既にその約140年の歴史に幕を下ろしている。中華街もバブル期からコロナ禍を経てすっかりその姿を変えてきているが、今どきの流れに合わせて此処も似つかわしくないファストフードスタイルの聘珍茶寮なども展開していたが中途半端な立ち位置のまま終焉を迎えることとなった。

中華街もかつては幾つかの店は深夜にフラっと行ってもその店の自慢の一皿が堪能出来たものだったが、今やそんな店も次々に閉店し大箱の食べ放題がすっかり主流になっている。中華の名店といえば東京でもコロナ禍のあおりで銀座の「楼蘭」なども無くなってしまっているが、聘珍楼も然りそれぞれの店にそれぞれの思い出がありなんとも寂しい感は否めないがこれも時代の流れと甘んじて受け入れるしかないのだろう。


各社冷食注力

昨日の日経紙ビジネス面では「無印の冷食商品数25%増」と題し、良品計画が8月末までに雑貨店「無印良品」で冷凍食品の商品数を約100品と足元から25%増やす旨の記事があった。雑貨店とはいうもののココはレトルトカレー中心に特に食品部門が伸びており、私も銀座店に時々行くがほとんどが食品関係の物色がメイン、この冷凍食品もキンパなど前から人気があったが最近はイタリアンから中華まで幅広く網羅している。

ところで冷凍食品に注力といえばコンビニも注力する向きが出ている。ローソンは今月に冷凍おにぎりの販売を現在の約400店舗から関東の約1700店舗に拡大させると発表している。更に今年11月末までに約2000店舗、来年は9月までに約4000店舗、そして来年中には冷凍ケースが無い店舗を除いて国内の全店に拡大することを目指すという。

これまで冷食といえばストック需要がウエイトを占めていたものの、このおにぎりなどは直ぐに食べられるニーズも取り込めるか。同紙にも出ていたが昨年の冷凍食品の消費額は前年比で4.4%増の1兆3000億円超えと過去最高を記録しており、10年前は1兆円にも届かなかったものだがそこからは32%も増加している。

低食料自給率の日本では喫緊の課題としてたびたびフードロスが取り上げられているが、冷凍食品は消費期限の長さ含め企業側も製造コストなどメリットは多くこうした点でまだ伸びしろが予測されている。近年の冷凍技術の飛躍的な向上とも相俟って食品ロスを防ぐ魅力的な商品の拡大に今後も期待したいもの。


最高益更新後の収益モデル

周知のように三井住友FG参加の三井住友カードの「Olive」とソフトバンク系のスマホ決済「PayPay」とが連携しデジタル金融サービスで手を組むことが先週に報じられている。現在のOlive利用者は500万人以上、そしてコード決済でナンバーワンのPayPayの利用者は約6900万人ということだが、ポイント経済圏の覇権争いが激しさを増すなかこの連携で日本最大級のポイント連合が誕生することとなる。

さてメガバンク勢のこうした動きでは他にも今月は既にウェルスナビを完全子会社化している三菱UFJFGがインターネット専業の新しい銀行を来年中に設立する方針も報じられているほか、昨年末にはみずほFGが巨大なポイント経済圏を構築している楽天グループとリテールビジネスを再構築する旨も報じられており、若年層を含めた多くの個人顧客を囲い込むうえで各社共にこれら連携が加速している感がある。

ところでこれら3メガバンクといえば先週には決算も出揃っているが、金利のある世界の復活を追い風として冒頭の三井住友FGはグループとしては初めて最終利益が1兆円を超え、上記の三菱UFJFGは前年比で25%増、またみずほFGも前年比30.4%増とこの3社合計では4兆円に肉薄する規模となりいずれも過去最高を更新してきている。

改めて金利の重要性が再確認されるというものだが、この要の金利引き上げも米の関税政策などによる景気の不透明化で後ろにずれることも予想される。金利に頼らない収益源を視野に入れることを考えるに、今回のような提携は収益モデル転換の選択肢の一つとして挙がろうか。そういった意味で今後ほかの金融機関や決済サービス等でも顧客を囲い込むために新たな提携を模索する動きが活発化してくる可能性もあり注目か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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