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日本のお家芸

昨日の日経紙ビジネス面では、帝人が衣料素材メーカーの福井経編興業や大阪医科薬科大学と共同で開発した心臓パッチ「シンフォリウム」を12日に発売する旨が出ていた。同製品といえばかつて高視聴率を誇った日曜劇場の「下町ロケット2ガウディ計画」に登場する心臓の人工弁技術の題材にもなっており、さながらリアル下町ロケットといったところか。

ところで福井の衣料素材メーカーといえばもう一つ、福井の第一織物もハイブランド関連で時折報じられている。ポリエステルにもかかわらず綿や麻の質感を持ち強い耐水性も兼ね備えるデュクロスなる素材を開発し、ルイヴィトンやグッチをはじめモンクレールやバーバリー、国内ではイッセイミヤケなどのハイブランド勢から引っ張りだこになっている。

日本の繊維産業といえばかつては高度経済成長を支えた黄金期も今は昔、すっかり斜陽産業に成り下がってしまったイメージであったが、こうした向きが空洞化を食い止め日本の繊維産業の火を絶やさぬ一助を担っているか。冒頭の下町ロケットではないが、先端医療からハイブランドまで支える技術が日本の中小企業から続々と生み出されているのは実に誇らしい限りだ。


特定資産の再考を

さて、今からちょうど10年前に当時では世界最大であった仮想通貨交換業者のマウントゴックスが約480億円のビットコイン等を流出させた事件があったがあれから10年、先月末にDMM.comグループで暗号資産交換業を営むDMMビットコインが482億円相当のビットコインを不正流出させる事件が起きている。

むろんこの10年、この手の仮想通貨流出事件が全くなかったワケではなく日本だけでも18年にはマウントゴックスを上回る580億円が不正流出したコインチェック事件や、その同じ年のテックビューロの67億円不正流出、その翌年にはビットポイントジャパンの35億円不正流出など挙げれば幾つもの流出事件を挟んできている。

ところで本日はNF・日経半導体ETFが上場しているが、こうした管理運用が難しい仮想通貨こそETFではそのハードルが果てしなく下がることになる。先にも書いたように現行では投資信託の運用対象である特定資産から外れており、そもそも金融庁は5年前の指針改正において暗号資産を投資対象に含む投資信託の組成・販売を禁止しているワケだが、こちらもパラダイムシフトが求められる時期に来ているか。


異常気象の影響ジワリ

月初め恒例の今月の値上げだが、帝国データバンクによれば主要食品メーカー195社における家庭用を中心とした6月の飲食料値上げは、前年同期のカップヌードルからきのこの山にたけのこの里まで約3700品目超の大規模な値上げラッシュから83.7%減の614品目となり、6か月連続で前年同月を下回る事となった。

この6月の値上げでは全食品分野で「加工食品」が329品目で最も多く、中でも不作の影響を受けた海苔製品の値上げが目立ち大森屋では最大26%も値上げする。不作といえば昨年の猛暑の影響で不作となったコメもここに来て影響が出ているといいい、海苔もコメも値上げとなればこれのど真ん中で最近増殖しているおにぎり屋や弁当屋などなかなか厳しい感になるか。

他にもカルビーが国民のおやつポテチやじゃがりこ、かっぱえびせんなど68品目を最大10%の値上げ、この手の類ではハウス食品のとんがりコーンやオーザックなど6品目を値上げ、そして前年同期に値上げした冒頭のきのこの山やたけのこの里など再値上げと明治も54品目を値上げする。

大雨や猛暑、干ばつなどをはじめとする世界的異常気象で、不作・凶作となった原材料の価格高騰を受けた値上げが広がるが、国内でも異常気象による一部野菜の高騰が見られるようになって来ただけに今年の猛暑予想が気掛かりだ。政府肝入りの定額減税が今月からスタートするが、政府の電気・ガス代補助も終了する事で個人のみならず企業の光熱費上昇分がコスト押し上げ要因として値上げの口実にされぬかこの辺も注視しておきたいところ。


Good Sleep

昨日の日経MJ紙では「睡眠ビズ革新へ目覚め」と題し、創業458年の老舗、西川の戦略などについて書かれた記事を見掛けたが、今月は三越銀座でも先週アタマまで「GOOD SLEEP FAIR」が開催され、体形等を計測し個別にマットレス等の寝具を提案するなどのイベントが行われるなど近年は睡眠をテーマにした催事を多く目にするようになった。

思えば2年くらい前だったか、睡眠の質が向上するとかのフレコミで「ヤクルト1000」がコンビニから駅の自販機に至るまで軒並みその姿を消すような現象が起きたあたりから睡眠関連のマーケットへの注目が高まったような気もする。ちなみに昨年2023年度の国内睡眠関連市場は前年比で4%増の1608億円にのぼる見込みという。

もともと日本人の平均睡眠時間はOECD30か国中の中でも最短と言われているが、睡眠不足などこの関連による経済損失は18兆円にものぼるとの試算も一部ある。社会保障費の増大や生産性の低さを問題に抱える日本の課題の一つにもなっていると指摘する向きもあるだけに、よりよい睡眠環境を求める需要を掘り起こす動きが今後もますます出てくるか。


安売りセット拡大

先週末の日経紙夕刊マーケット面では、マクドナルドの5ドルのセットメニュー導入に端を発しその後にウェンディーズやバーガーキングがこれに続くなどハンバーガーチェーンによる安売り競争が激化している旨が出ていた。ちなみにこの5ドルセット誕生の背景になったのが、米の一部店舗でマックのセットが18ドルで販売されていたことが話題になり顧客からの価格の高さに対する不満が出ていた事などいわれている。

マックで18ドル(約2800円)のセットなどちょっとピンとこないが、安売りでも780円かと一瞬思ってしまうほど我が国の購買力は沈んでしまったと実感するが、それはともかく、米消費者物価指数の全項目は2019年末から今年3月にかけ22%上昇したが、マックのようなファストフード等の限定サービス項目は31%増と、フルサービスの食事の25%増を上回る高い上昇率となっている。

マックで18ドルのセットが出るくらいだからフルサービスのレストランメニューがこれより安くなる逆転現象というケースも出始めていると思われるが、こうなると先週月曜日に当欄で、小売店中心に消費者が従来より低価格の商品を購入しようとする「トレードダウン」の動きが外食にも押し寄せてくる可能性もあり、米経済の先行きを占う意味でも今後もこれら含め個人消費の動向には注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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