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各社が上方修正

先週末の日経紙一面には「上場企業5年連続最高益」と題し、2026年3月期の上場企業の純利益はAI投資などの需要に加え非中核事業の売却など資本効率改革により5年連続で過去最高を更新する見通しとの記事が一面を飾っていたが、斯様な企業業績や高市政権の政策期待による海外投資家の資金流入も継続することが予想され証券各社や運用各社などが年末の日経平均株価の見通しを相次いで引き上げている。

いずれも先週から今週にかけて従来予想からの引き上げが為されているが、この辺は昨日の日経紙にも出ておりザッと国内大手では野村が従来予想から4000円の引き上げ、外資系ではBofA証券が同5500円の引き上げ、UBSは更に大きく同8000円の引き上げ、また国内運用大手では大和アセットが7000円の引き上げ、三井住友DSアセットも7000円の引き上げといった具合だ。

これでこれら挙げた各社は全て6万円の大台に乗った格好だが、本日も日経平均は3日続伸し早くも6万円大台が指呼の間となっている。これらの基準にもなる「EPS」だが、TOPIXの26年度のそれは各社共に10~15%の増益を見込んでおりざっくり3090円台~3200円台というところだが、後は年明けの当欄でも書いたようにこれらから「バリュエーション」をどこまで許容できるかだ。

PERで試算すれば長年壁と言われていた20倍の場合10%増益で約61900円、15%増益なら約64700円となり冒頭各社の新予想の水準になってくるが、足元でPERはコロナ禍の異常値を除きアベノミクス相場序盤を超えてきている。ここから一段の上方修正を目指すにはROEの向上など併せて不可欠となってくるだけに期待値が実勢となってくるかどうか今後の各種指標に注目である。


問われるガバナンス

昨日の日経紙夕刊にはAIを活用した法務業務の効率化を手掛けるリーガルオンテクノロジーズが、大和アセットマネジメントと共同でAIを活用してインサイダー情報を検知するシステムの開発を始めた旨の記事があったが、そういえば本日は証券取引等監視委員会がみずほ証券社員らの関係先をインサイダー取引容疑で強制調査した旨の記事が日経朝刊の一面を飾っていた。

インサイダー取引といえば忘れた頃にポツンポツンと挙げられるイメージだったが、今年はつい先月も三田証券の元幹部がインサイダー取引容疑で逮捕された事件があったばかり。三田の件は投資銀行本部長職時代にニデックによる牧野フライス製作所に対するTOB情報を元に公表前の株式を買い付けたものだったが、上記のみずほ証券社員も同じく投資銀行部門に所属していたという。

上記2件に限らずここ数年はその辺の一般人が運悪く見つかってしまう“川下”のケースよりも“川上”の金融業界の摘発が多く、さらに遡れば三井住友銀行の証券代行部門から胴元?の東京証券取引所に更にその市場を監督する金融庁からもTOB情報を利用したインサイダー取引で有罪判決が出るなど異例ともいえる事件が近年では起きている。

TOB案件では上場企業が破綻して株価が下がるのと同じくらいの確率でその株価は上昇するのでこの誘惑に負ける輩が出てくるわけだが、昨年も書いたように一昔前のインサイダー取引では企業破綻や苦し紛れの巨額増資に絡む“売りインサイダー”が主流だったが、今は資本効率に絡むM&AのTOBでの“買いインサイダー”が目立つ。そう考えると犯罪からも近年の市場改革の進展が垣間見えるというまこと皮肉な事例ともいえるか。


ティッカーシンボル「PAYP」

先週末にソフトバンクG傘下のスマホ決済大手のPayPayが来月にも米ナスダック市場に上場する旨が各所で報じられている。ソフトバンクG側の売り出し保有株式は10%程度を予定している模様だが、想定される時価総額は3兆円を超える見通しという。PayPayはこれに先駆けて米クレジットカード大手のビザとの提携を発表しているが、日本で成功したモデルが輸出?される格好に。

このPayPay、日本国内のスマホ決済のシェアでは約7割を誇っているが、この手の決済市場でペイパルなどの大手が君臨する米市場へ上場を目指すことでデジタルインフラへの脱皮を狙う。しかしコロナ禍の頃から機関投資家が評価し易い環境が整備されている米市場に上場する日本企業が相次いでいるが、このPayPayのような成長性の高い有力企業が東証を素通りして米市場へ直接上場する様を見るになかなか複雑な思いも出てくるものだ。

PayPayユーザーが海外渡航先でもこの対応店舗で決済できるよう支払方法の拡充など為されれば一層利便性が高まるというものだが、ソフトバンクGといえば過日は多額の出資をしている米オープンAIも今年はIPOを計画しているという報道もあった。上場がかなえば抱える“金の卵”の価値がどのくらいなのか定量的に把握出来るようになることで株価含め同社を取り巻くまた違った景色が見えてくるようになるか。


乱高下のFMH株

さて、昨年の春からフジ・メディア・ホールディングスへの圧力を段階的に強めていた村上氏であったが、節分の昨日に不動産事業の再編検討と大規模自社株買いを発表した。同社が予てより要望のあった村上氏側の要求をほぼ汲んだかっこうとなり、これによりこの自社株買いに応じて保有していた同社株を手放す方向に。これでかれこれ1年近くに及んだ村上氏側との攻防は手打ちとなり一先ずは収束に向かうという形になる。

ここまでアクティビスト勢と対峙するなかでフジ側は「有事導入型買収防衛策」導入の決議をしたり提案に対する具体策を発表しないままなんとか凌いで?やってきたわけだが、一連の流れで村上氏側含むアクティビスト勢が議決権株式の3割超を持つに至り今回の大幅譲歩の流れになったか。様々な思惑から本日の同社株は年初来高値を更新するもそこから10%以上も売られその後急速に戻すなど乱高下の一日であった。

今日の株価乱高下には資本有効活用進展の期待がかかるものの、成長の柱に据えるとしたメディア・コンテンツを今後どうしてゆくか施策の出されないところへの不透明感も滲み出る。将来性の思惑で今後も株価は思惑含みになりそうだが、村上氏系では昨日提出の大量保有報告書で東証プライム上場のレンゴー株を5%以上保有していることが明らかになっておりこれら含め関連株には今後も注目しておきたい。


逆風下での逆行高

さて、フジサンケイグループへの圧力をじわじわと強めている旧村上ファンドの村上氏の長女だが、先週末のマーケット引け後にはサンケイリアルエステート投資法人の持ち分を7.36%取得したことが明らかにされている。ココは既に年明けに子会社が一任契約で運営管理するファンドのTOB実施が伝えられ同価格にサヤ寄せする格好で急騰を演じた経緯があるが、この報を受け本日は年初来高値を更新しこのTOB価格を上回る急騰を演じている。

ところでこのREITといえば有利子負債を多く抱え教科書的には近年の金利上昇圧力が逆風になるはずだが、当のマーケットは各市況の好転や資本効率の改善などを背景に、東証REIT指数は約4年ぶりの高値圏で推移しており先の日経紙では低迷する米はもとより豪州、シンガポールのパフォーマンスをも上回りきれいな上昇トレンドを描いている模様の旨が書かれていた。

こういった中で、上記の村上氏もそうだが国内のREIT市場にもアクティビストの手が伸びてきている。今からちょうど1年前にはシンガポールの投資ファンドである3Dインベストメント・パートナーズがNTT都市開発リートに対してTOBの発表をしており、さらに同ファンドは翌月にも阪急阪神リート投資法人に対してもTOBを実施する旨を発表している。

ちなみにこのTOB劇はその後いずれも不成立に終わっているが、株式市場で親子上場解消の動きが進むなかこうした動きは今後も活発化してくるか。株式市場のみならずREIT市場でもアクティビストがカタリストとしてその存在がクローズアップされてくるか否か、今後もその動向に注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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